日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2019年1月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:破魔弓を持った晴れ着姿の女の子。後ろをイノシシが「びゅ〜ん」と駆け抜け、女の子はびっくり。隣の犬も門松も吹き飛ばされそう。「猪突猛進に制限スピードなし…!」   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆ボランティア交流会のゲストは桂文太さん  ボランティアの皆様への日頃の感謝を表し、ボランティア・職員間の交流を深める「ボランティア交流会」を、今年は3月6日(水)、玉水記念館で開催します。今回は、盲導犬をパートナーとして活躍中の上方落語家、桂 文太さんをゲストに、本格的な落語をご堪能いただきます。また、今回は特に多数のボランティアの皆様に活動歴20年・30年、そして特別表彰の感謝状贈呈を行います。その他、友の会総会、美味しいお弁当を囲んでの歓談、お買い得品満載のバザーなど盛り沢山な内容です。ぜひご予定ください。  日時 3月6日(水)午前10時〜午後3時頃  会場 玉水記念館(肥後橋駅8番出口すぐ)  会費 1,000円(お弁当代)  10:00 感謝式典(感謝状贈呈)  10:30 落語とお話し:桂 文太さん  11:45 ボランティア友の会総会  12:15 昼食、受賞者の一言、ほか  14:00 バザー(収益は友の会活動費に充当)  当日は全館休館です。参加申込は2月末までに3階総務係(電話06-6441-0015)まで。バザー商品も募集中ですので、ご協力をお願いします。  ◆「朗読劇」をネット公開、特番がテレビ放映  昨年11月に開催した記念行事「ヘレン・ケラー女史没後50年を偲んで」に関連して、以下のような出版、公開、放映等を行います。 ●記念出版「岩橋武夫−義務ゆえの道行」=墨字版、デイジー版を法人本部(電話06-6961-5521)で販売。各1,500円。点字版は点字情報技術センター(電話06-6784-4414)。全2巻、7,200円。 ●朗読劇「Helen〜ともしびをかかげて」=当日の録音を当館のHP(http://www.lighthouse.or.jp/iccb/)の「おすすめ情報」で公開中。 ●ドキュメンタリー番組「ヘレン・ケラーの愛した日本〜没後50年奇跡の人の知られざる真実」=1月13日(日)19時〜20時54分、BS11で放映。記念行事も交えて岩橋武夫との交流も紹介。 ●“ランプの灯火”記念バッチ=ご希望の方には3階総務係で協力金500円で差し上げます。  ◆1月の休館について  7日(月) 仕事始め(法人行事のため14時まで)  8日(火) ボランティア活動・サービス再開  12日(土) 休室:図書貸出、録音製作、電子書籍 (ハッピーマンデーの振替休館)    <<センターの頁>>(2頁)   ●新年のご挨拶〜皆様とともに“ランプの灯火”を掲げて   新年おめでとうございます。旧年中にボランティアや支援者の皆さまから頂いたご支援とご協力に心から感謝申し上げるとともに、本年もいっそうのお力添えを賜りますようにお願い申し上げます。年頭にあたり、各部署の責任者から皆さまへ新年のご挨拶をお届けします。  ◆今年も“情報共有社会”の実現を目指して 館長 竹下 亘  今年は、元旦の1月1日にマラケシュ条約が発効するとともに、改正著作権法が施行されます。さらに視覚障害者等の読書環境を整備する「(仮称)読書バリアフリー法」も今年中の制定が期待されるなど、記念すべき年の幕開けとなりました。  私は60歳の節目を迎えましたが、心を新たにして後半戦に臨み、すべての人が等しく情報を分かち合える“情報共有社会”の実現を目指して、努力していきますので、今年も皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。  ◆ライトハウスをもっと知っていただくために 総務部主幹 林田 茂  平成30年、もっとも印象に残っているのは「ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」の記念事業に関わったことでした。その際、力を入れたのは、さまざまなPR活動です。当事者やボランティア、関係者の方々にライトハウスのことを知っていただくのはもちろん、“まだ知らない”“よく知らない”という方々にも理解の輪を広げていくことが、よりよい支援の環境作りに繋がっていくと考えています。  ヘレン・ケラーは、人を支える気持ちや思いやる気持ちをランプに例えました。自分の足下を照らしているランプを、少し高くするだけで周りの人の足下を照らし、周囲も明るくすることができます。これからもランプを高く掲げながら取り組んでいきたいと思います。  ◆一人でも多くの方の生活を楽しく、豊かに サービス部長 岡田 弥  昨年、別館の図書・情報係では異動に伴って複数の職員が入れ替わり、ボランティアの方に何かとご迷惑をおかけしました。また、5階のサービスフロアでは、最新のウェアラブルデバイスを体験したいという方など多くの方にご来館いただき、慌ただしい一年でしたが、いずれも皆さんのご協力とご支援のおかげで無事に過ごせたことを感謝いたします。  サービス部は当館の“顔”です。今年も、一人でも多くの方の生活を便利に、楽しく、豊かにしていく情報を届けるよう心がけていきますので、引き続きご支援をお願いいたします。  ◆学び、働き、暮らし、楽しむための図書製作を 製作部長 久保田 文  昨年、製作部では新たに6人の職員を迎え入れました。製作部の3分の1が新人という状態になりましたが、皆さまのご理解と温かい励ましのおかげで、各リーダーを中心に、実践型研修で新人を鍛えながら新体制を整えることができました。ボランティアの皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。  サービス部が当館の“顔”なら、製作部はサービスを支える“土台”です。今年も、職員一同さらなる研鑽を積み、視覚障害等の方々が、「学び」、「働き」、「暮らし」、「楽しむ」ことの支えとなるべく、ボランティアの皆さまと共に、質の高い点字図書、録音図書、電子書籍、音声解説の製作・提供に努めてまいります。   ●「てんやく広場」から「サピエ」まで、30年間の歩みと課題(2)   全視情協第44回・岐阜大会の基調報告から 館長 竹下 亘  ◆サピエの課題@ 製作・提供時間の短縮  前号でご紹介したように「サピエ」誕生以降30年の発展は目覚ましいものがありますが、利用者の立場から見ると課題も少なくありません。  一番目の課題は、製作・提供時間の短縮です。試みに2018年夏のベストセラー書籍(日販発表)を調べたところ、サピエにおける完成、製作中、未製作の状況と、完成予定までの期間(月数)は以下の通りでした。  ベストセラーのサピエ製作状況と完成予定期間 TDはテキストデイジーの略。製作期間は予定のため、着手時に余裕を見て設定し、実際にはそれよりも早く完成する場合も少なくない。 順位、原本名、出版年月、点訳製作状況と期間、録音製作製作状況と期間、TD製作製作状況と期間の順 ◆2018年8月のベストセラー「単行本・フィクション」 1 下町ロケット ゴースト 18年7月 制作中6ケ月、製作中5ケ月、完成1ケ月 2 「おっさんずラブ」公式ブック 18年7月 未製作、未製作、未製作 3 ファーストラヴ 18年5月 制作中11ケ月、制作中11ケ月、完成3ケ月 4 かがみの孤城 17年5月 完成7ケ月、完成2ケ月、完成2ケ月 5 むすびつき 18年7月 制作中6ケ月、制作中5ケ月、未製作 6 コーヒーが冷めないうちに 15年12月 完成5ケ月、完成6ケ月、未製作 7 俺、つしま 18年7月 未製作、未製作、未製作 8 送り火 18年7月 完成2ケ月、完成1ケ月、完成1ケ月 9 万引き家族 18年6月 完成0ケ月、完成1ケ月、完成0ケ月 10 クマとたぬき 18年7月 未製作、未製作、未製作 ◆2018年7月のベストセラー「単行本・ビジネス」 1 1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 18年5月 制作中1ケ月、完成12ケ月、制作中14ケ月 2 1分で話せ 18年3月 制作中15ケ月、製作中16ケ月、未製作 3 10年後の仕事図鑑 18年4月 制作中13ケ月、制作中9ケ月、未製作 4 スタンフォード式疲れない体 18年5月 制作中15ケ月、未製作、未製作 5 大人の語彙力ノート 17年9月 完成6ケ月、制作中10ケ月、未製作 6 「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく東大読書 18年6月 未製作、未製作、制作中7ケ月 7 嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 13年12月 完成5ケ月、完成7ケ月、完成37ケ月 8 できる人は必ず持っている一流の気配り 18年5月 制作中12ケ月、未製作、未製作 9 「すぐやる人」と「やれない人」の習慣 17年1月 制作中23ケ月、未製作、制作中21ケ月 10 大富豪からの手紙 18年3月 制作中13ケ月、制作中6ケ月、未製作  上記の内、製作(着手)されている書籍の完成予定月数を平均すると、「フィクション」では点訳5.3ヶ月、録音4.4ヶ月、TD1.4ヶ月、「ビジネス」では点訳10.1ヶ月、録音8ヶ月、TD20ヶ月。話題の文芸書のTD化の速さと、ビジネス書が文芸書の倍以上かかっているのが目に留まります。もちろん製作する側から言えば、時間がかかるのにはさまざまな事情や理由があるのですが、利用者からすると長期間待たされている間に興味や有用性が失われ、点字や録音離れにつながりかねない危険性があります。  ◆サピエの課題A プライベート製作への取組  年間8万タイトルに上る墨字書籍に比べ、サピエの年間新着登録数は1万8千タイトルに止まります。しかも、8万タイトルに含まれない墨字資料は膨大ですので、個々の利用者の依頼に応えるプライベート製作サービスは不可欠です。この推移を調べたのが以下の表です。 全国の点字図書館のプライベート製作数の推移 1987年度、1992年度、2016年度の順 点字 館 45館、64館、77館 件数、1館平均  1987年度 1266件、28.1件  1992年度 2797件、43.7件  2016年度 3296件、42.8件 頁数、1館平均  1987年度 25万5334頁、5674頁  1992年度 57万4400頁、8975頁  2016年度 45万1712頁、5866頁 録音 館 49館、64館、74館 件数、1館平均  1987年度 2304件、47.0件  1992年度 2922件、45.7件  2016年度 2354件、31.8件 時間、1館平均  1987年度 1万5569時間、317.7時間  1992年度 1万6933時間、264.6時間  2016年度 2万673時間、279.4時間  上記を見ると、プライベート製作サービスは「てんやく広場」の誕生後、点訳を中心に拡大し、サービスの実施館は着実に増えてきましたが、1館平均の提供件数と分量は、録音時間を除いて減少しています。これは蔵書の製作数が増えている分、やむを得ない面もありますが、当館を省みても依頼数の制限を設けるなど、決して十分に応えられているとは言えず、改善の取り組みが求められるところだと思います。  ◆サピエの課題B 図書の質と専門技術の向上  当館では、職員とボランティアが常に意識し、向上に努めているところですが、最近、各地の録音図書の“質”に対するクレームが少なくなく、全視情協全体においても大きな課題となっています。また、前頁のベストセラーの表に見られるように、専門書の製作が少なく、完成に1年から2年も待たされる状況も課題であり、当館で特に力を入れている専門書の製作や処理技術の向上が今後ますます求められています。  ◆サピエの課題C 広報と利用困難者の支援  サピエの発展とともに、点字図書館の利用登録者とサピエの個人利用会員は漸増しています。しかし、本誌昨年6月号で報告したように「日常的な情報入手手段」における点字・録音図書は10%前後、医療機関や役所での点字図書館の紹介率は10%未満に止まっています。高齢化と中途視覚障害者の増加が進む中、視覚障害者等への情報提供サービスを知らない人への広報、相談・支援サービスの充実、眼科医療との連携や公共図書館等との協力、ICT機器を使うのが困難な人に対する利用支援、誰もが使いやすい情報機器の開発などが求められています。   ●報告の頁(8頁)  ◆ヘレン・ケラー女史没後50年を記念して  昨年11月23日、24日、大阪市中央公会堂で「ヘレン・ケラー女史没後50年を偲んで〜ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」を開催し、視覚障害の方々やボランティア、関係者ら延べ1千人を超える皆様にご参加いただき、シンポジウムなどを交えながら、二人の足跡と功績を振り返りました。  特に女史の生涯と岩橋武夫との出会いを描いた朗読劇は好評で、再演を願う声も多数寄せられています(1頁参照)。  今回、記念講演した元厚生労働事務次官の村木厚子さんは、ヘレンの言葉には「人はみんなランプを持っていることが前提になっている。彼女は楽観的に、人を信じていた。私たちも彼女と一緒に、自分の持っている灯火を少し高く掲げながら歩みを進めて行きましょう」と締めくくられました。  (写真)朗読劇「Helen〜ともしびをかかげて」上演中の一場面。朗読台本を手に熱演中の演者と聞き入る観客。  ◆点訳ボランティア養成講習会を5人が修了  昨年5月に開講した今年度の点訳ボランティア養成講習会が12月20日閉講し、5人の方が修了されました。これから点訳活動で活躍されることを心から期待します。  (写真)修了者の皆さん(敬称略)。左から岩谷裕子(ひろこ)、岩本幸子(ゆきこ)、木内孝子、長井純子、林季子(すえこ)、奥野主任。  あゆみ 【12月】 8日 オープンデー(館内見学日、5人) 13日 近畿視情協V研修会(玉水記念館) 15日 見学:ジャパンハートミャンマー事業 20日 点訳ボランティア養成講習会修了式 22日 わろう座映画体験会「ホーム・アローン」 26日 図書貸出、機器・用具サービス最終日 28日 仕事納め・ボランティア活動最終日  予定 【1月】 7日 仕事始め(14時から休館:本部互礼会) 8日 ボランティア活動・サービス再開 10日 ボランティア世話人会 19日 見学:きららの会    オープンデー(館内見学日、要予約) 24日 見学:大阪医専視能訓練士課程 31日 わろう座映画体験会「美女と野獣」  編集後記 一日の疲れをゆっくりお風呂で癒すことで健康を保つことは大切です。私は、お風呂タイムに名案が浮かんだり、気持ちがリラックスして発想の転換ができたりします。ぬるめのお湯で半身浴をすると健康に良いイメージが世の中に広まっていますが、最近では、長時間の入浴は肌の油分がなくなって乾燥肌になっていってしまうので、ぬるめのお湯でもよくないとのこと。長湯は健康に逆効果だそう。40度のお湯に10分から15分浸かるのがよいそうです。好きなようにお風呂にはいりた〜い!、今日この頃です。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2019年1月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2019年1月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円