日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2018年10月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:紅葉がひらひらと舞う中、葡萄や梨やきのこがてんこ盛りの大きな編みかごを見て喜ぶ女の子「食欲の秋だね…」唇をペロリ。男の子は葡萄の実をポーンと投げて口でキャッチ。犬は仰向けにお腹をさすりながら「まんぷく…」。   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2頁)   ●利用者の頁(3頁)   ●感謝報告(4〜9頁、別ファイル)   ●掲示板・別枠(9頁)   ●報告の頁(10頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆ボランティア施設見学会で楽しく交流を  毎年恒例のボランティア友の会施設見学会。今年は今話題の「神戸アイセンター・ビジョンパーク」(紹介は9頁)を訪ねます。見学後は、近くのホテルでランチバイキングを楽しみながら交流を広めましょう。ぜひご参加ください。 集合日時 10月29日(月)10時(14時頃終了予定) 集合場所 ポートライナー医療センター駅改札 行き先 神戸アイセンター・ビジョンパーク  ホテルパールシティ神戸・レストラン&カフェ「プラシャンティ」 定員 30人(先着順。定員で締め切ります) 費用 1,500円(食事代込)、交通費実費  ※神戸アイセンターで集金します  お申し込みは当館総務係(電話06-6441-0015)、または各フロアまで。申込締切は10月23日(火)。  ◆「盲導犬チャリティカレンダー」2019年版発売  毎年大人気のカレンダーを今年も発売。ほのぼのとしたラブラドールのイラストを月替わりでデザイン。A4判(見開A3判)。定価1,000円。直接購入の場合は当館3階総務係、郵送の場合は盲導犬訓練所(電話0721-72-0914)まで。  ◆「ヘレン・ケラー女史没後50年を偲んで〜 ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」のご案内  11月23日(金・祝日)と24日(土)、大阪市中央公会堂で開催する標記イベントのご案内を本誌2頁に掲載しています。お目通しの上、ぜひご参加ください(事前申込みが必要です)。  ◆10月13日・14日は日本ライトハウス展へ  今年の「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2018」(読売光と愛の事業団共催)は10月13日(土)と14日(日)10時から16時、難波御堂筋ホール(大阪メトロなんば駅)で開かれます。今回は、過去最多の46社が出展。特別ステージでは、落語家の桂 文太氏、お笑い芸人の濱田祐太郎氏らが出演。図書展も同時開催されます。チラシで詳細をご覧の上、ぜひご来場ください。  ◆10月の休館日について  10月6日(土)=ハッピーマンデーの振替休館日ですが、本館は開館し、図書貸出のみ休ませていただきます。  10月13日(土)=日本ライトハウス展で全館休館。    <<センターの頁>>(2頁)   ●「ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」の記念行事を開催   二人の足跡を辿り、思想や理念を受けとめ、再び歩み出すために  日本ライトハウスでは、11月23日(金・祝日)と24日(土)の2日間、大阪市中央公会堂で「ヘレン・ケラー女史没後50年を偲んで〜ヘレン・ケラー女史と岩橋武夫」を開催します。記念講演やシンポジウム、朗読劇、映像とパネル展示など盛り沢山なプログラムを行います。参加無料。11月1日から当館で参加申込みを受け付けますので、ぜひご来場下さい。(総務係主幹 林田 茂)  ◆記念イベントの目指すもの  “あなたのランプの灯火を、いま少し高く掲げてください。見えぬ人々の行く手を照らすために”−−ヘレン・ケラー女史は、社会の片隅にいる障害のある人を表舞台に導き、かけがえのない社会の一員であることを人々に知らしめた人であり、今なお世界中で敬慕されています。また、日本ライトハウスの創業者岩橋武夫は、ヘレンとの固い絆の元、わが国の視覚障害者の社会参加に向けた数々の事跡を残し、「愛盲の使徒」と称されました。  このイベントは、ヘレン・ケラー女史没後50年を記念し、二人の足跡を辿りながら、会場の皆さんと一緒に“これから”について考える機会となることを願って開催します。  ◆記念式典(記念講演とシンポジウム)  11月24日(土)13時〜17時。多彩なゲストのメッセージに続き、元厚生労働事務次官、村木厚子氏の講演「ヘレン・ケラー女史来訪の意味」と、森田昭二氏、日比野清氏、愼(しん) 英弘(よんほん)氏、關 宏之常務理事らによるシンポジウムを行います。  ◆朗読劇「Helen〜ともしびをかかげて」  11月23日(金)13時〜14時30分と、24日(土)10時30分〜12時の2回。三重苦の奇跡の人と呼ばれたヘレン・ケラー。彼女はいかにして世界の希望の光となったのか。その生涯と、その活動に心打たれた岩橋武夫との出会いを、劇団SE・TSU・NA(セツナ)の朗読劇で上演します。  ◆映像とパネル展  11月23日(金)13時〜17時と、24日(土)10時〜16時の2日間。過去に製作・公開されたヘレン・ケラー女史の生涯を綴った写真パネルとともに、貴重な映像資料を公開(申込不要、観覧自由)。  写真:4人の人物が和やかに歓談。向かって左から2人目が岩橋武夫。打ち解けた様子で右隣のヘレン・ケラーに笑いかけている。  ◆参加者への特典  1983年に刊行された關宏之著「岩橋武夫〜義務ゆえの道行(みちゆき)」を記念出版(墨字、点字、音声デイジー版)し、参加者に差し上げます。また、ランプを掲げる手をモチーフにしたシンボルマークの記念ピンバッジもプレゼント。  ◆参加申込方法  記念式典(記念講演とシンポジウム)と朗読劇(2回上演のいずれか)の参加申込みを11月1日(木)から当館で受け付けます。いずれも400人になり次第、締め切ります。お申込みは、当館総務係(電話06-6441-0015)までどうぞ。  2日間のプログラム 【11月23日(金・祝日)】 中集会室 13:00〜14:30 朗読劇 特別室 13:00〜17:00 映像とパネル展 【11月24日(土)】 中集会室 10:30〜12:00 朗読劇  13:00〜17:00 記念式典  14:00〜15:30 記念講演  15:30〜17:00 シンポジウム 特別室 10:00〜16:00 映像とパネル展    <<利用者の頁>>(3頁)   ●パラクライミング世界選手権3連覇!   視覚障害のクライマー小林幸一郎、50歳の挑戦  9月6日〜16日、クライミング世界選手権がオーストリア・インスブルックで開催されました。大会ではパラクライミングも同時に開催され、視覚障害のカテゴリーで、NPO法人モンキーマジック代表の小林幸一郎選手が前人未踏の世界大会3連覇の偉業を達成しました。実はクライミングが趣味の私は、小林さんとも一緒に登りあうクライミングの友人です。大会前には小林さんをはじめ、日本代表選手との練習会にも参加させてもらいました。今回は3連覇を果たした小林選手とパラクライミングの魅力をご紹介します。(総務係主幹 林田 茂)  ◆年齢を感じさせない圧倒的な強さ  パラクライミングは、高さ約15メートルの壁を使い、登った高さを競います。小林選手は視力障害カテゴリーの中で最も障害の程度が重いクラスのB1(全盲)で出場。2位の選手が中盤の25手目で落下したのに対し、小林選手は35手目で落下と圧倒的な強さで優勝を飾りました。驚いたのはB2のカテゴリー(ロービジョンクラス)の優勝者よりも到達点が高かったことです。  小林さんがクライミングを始めたのは16歳からで、28歳の時に網膜色素変性症であることが発覚。今では光がわかる程度で、わずかに視力が残るだけです。普段の人なつっこい笑顔からは、あの力強いクライミングスタイルは想像もできません。そんなギャップも小林さんの魅力なんだと思います。 写真:決勝の課題を登る小林幸一郎選手。身体を傾けながら右手で逆三角錐状のホールドを、左手で直方状のホールドを掴み、右足は小さなホールドにかけ、左足は2つの半ドーナツ状のホールドに挟み込んでいる。  ◆登っているときに、見えない恐怖は?  マスコミの取材で「見えない中で登る恐怖心はないのか」という問いかけに対し、小林さんは以下のように答えられています。「クライミングの恐怖心は、見えていても見えていなくても変わらない。『今、落ちたら怖いな』と思う時はあるが、それは障害のせいではなく人間の本能だと思う。恐怖心よりも、できなかったことができる喜びのほうがはるかに大きい。」  クライミングをやっている私には、見えていても怖いのに、不安定のなかで手を伸ばす恐怖は想像を絶するものがあります。でも、自分の限界に向き合い、諦めずにできた時の達成感は格別で、クライミングの大きな魅力です。  ◆クライマーの目となるナビゲーター  ナビゲーターは、「10時方向に、ちょっと遠め、左から持てそうな三日月みたいな形してるホールドがあるよ」と方向と距離、次に触るホールドの形を伝え、手が伸びてくると、「もうちょい左、上…、ちょい左、それ!」と微調整しながら、ホールドの位置を登っているクライマーに伝えます。パラクライミングでは、クライマーの技術もさることながらナビゲーターも重要になってきます。体を使ったパズルと称されるクライミングは、登りながら何が正解なのかを探りながら登っていくので、ナビゲーターは見える情報を的確に、かつ複数の選択肢を伝え、登っている人が今何を求めているか瞬時に心を読み取る技術が必要になってきます。一緒に登っている意味でペアクライミングとも呼ばれます。  来年の世界大会は、日本で開催されることが決まっています。小林さんの大会連覇を応援しながら、新しいクライマーの登場にも期待しています。パラクライミングからは、ますます目が離せません。ぜひ応援よろしくお願いします。(関連情報は、小林さんが代表を務める『モンキーマジック』のホームページをクリック!)   ●掲示版・別枠(9頁)  ◆神戸アイセンター・ビジョンパークのご紹介  10月29日(月)、ボランティア友の会見学会で訪問する神戸アイセンター・ビジョンパークは、国内初、他に例のない、眼科医療と患者や家族、視覚障害の方、そして一般市民や企業、関係団体などを結ぶ気づきと学びの場。昨年12月、神戸のポートアイランドに開院した神戸市立神戸アイセンター病院の入口(2階)に開設されました。運営は公益社団法人NEXT VISIONで、網膜再生医療の研究と実用化で世界的に注目されている橋政代医師が牽引役を果たしています。  ビジョンパークは開放感溢れるオープンスペースで、リーディング、シミュレーション、キッチン、クライミングなど5つのエリアで構成。情報収集、学習、便利な道具の発見、おしゃべり、読書、趣味やスポーツ、調理体験などを体験できるほか、ヨガや映画、音楽鑑賞などのイベントも行われます。相談や情報提供は、近隣の視覚障害者施設・団体が協力しており、当法人からも月2回職員が出向いています。  従来の視覚障害者福祉の概念を覆す発見があると思いますので、ぜひ見学会にご参加下さい。   ●報告の頁(10頁)  ◆室さんと片岡さんが朗読録音全国表彰  公益財団法人鉄道弘済会の今年度第48回朗読録音奉仕者全国表彰に当館の室(たかむろ)雅子さん、文部科学大臣賞に片岡珠子(たまこ)さんが選ばれました。室さんは36年に亘り、専門書も含め1,858時間の音訳録音を続けて来られたことが評価され、2年前に全国表彰を受けた片岡さんは、長年に亘る医療や自然・社会科学等の専門書の音訳録音の功績が評価されたものです。表彰式は9月27日、東京の弘済会館で行われました。  ◆サピエ図書館の紹介動画をネットで公開  全視情協では、「サピエ図書館」の概要や利用方法などを紹介した動画「サピエ図書館ってこんなに便利!」(6分)をインターネットで公開しました。また10月25日(木)と26日(金)、岐阜市で開催する全国大会の一部をインターネットで生中継(及び録画配信)します。25日13時〜14時30分は、竹下亘理事長の基調報告「てんやく広場からサピエまで30年間の歩みとこれから」他。26日9時〜10時50分は、シンポジウム「サピエ図書館を軸とした、点字・公共・学校・大学図書館等の連携を考える」。いずれも全視情協のホームページ(http://www.naiiv.net/)からご覧いただけます。  ◆古谷さん、足立さん、北村さんが退会  長年大変お世話になったボランティアの皆さんがこの夏、相次いで退会されました。古谷(ふるや)豊子さんは40年近くもの間、点訳の他、専門点訳の講師や後進の育成、最近は転居先の三重県で点訳校正を続けてくださいましたが、健康上の理由で勇退されました。足立宣美(のぶみ)さんは20年にわたる図書貸出作業の他、本誌の点訳などもお引き受け下さいましたが、ご主人の介護のため退会されました。また当館の利用者でもある声楽家の北村多恵さんは10年前から楽譜点訳の指導をお引き受けくださいましたが、仕事で東京に転居のため退任されました。お世話になった皆様に心からお礼を申し上げます。  あゆみ 【8月】 11日 夏期全館休館(〜16日) 31日 わろう座映画体験会「古畑任三郎」 【9月】 4日 臨時休館(台風21号のため) 6日 ボランティア世話人会 7日 灯友会バザール(〜8日) 8日 オープンデー(館内見学日、2人) 13日 対面リーディング基礎講習会  予定 【10月】 6日 振替休館日(図書貸出のみ休室) 13日・14日 日本ライトハウス展(全館休館) 18日 見学:韓国クンソル自立生活センター 20日 オープンデー(館内見学日、要予約) 23日 見学:アレキサンドリア図書館 25日 全視情協大会(〜26日、岐阜市) 29日 V友の会施設見学会(神戸アイセンター)  編集後記 今夏、とうとう還暦を迎えました。(多くの先輩方からは「やっと/まだ還暦なの!」と冷やかされますが)。お盆に高校の還暦同窓会があったので、42年ぶりに初参加しました。私同様光ってる奴、フサフサの奴、昔憧れていた女性などに会い、青春時代の思い出が懐かしく蘇りましたが、一番ショックだったのはライバルだった奴が直前に病没していたこと。後半生が長いか短いか分かりませんが、ここまで無事に守られてきたことに感謝し、1日1日を大切に生きていきたいと思いました。(竹) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2018年10月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2018年10月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円