日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2018年8・9月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:水玉のサマーワンピを着た少女が貝殻を耳にあてている。少女の後ろには熱帯魚、イルカ、人魚、大きな亀が泳ぎ、音楽が流れる。少女は耳を澄ましながら目を閉じてつぶやく。「海のシンフォニー…」   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●拡大掲示板(2頁)   ●センターの頁(2〜3頁)   ●感謝報告(3〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆災害発生時の「臨時休館」について  当館では、大阪北部地震発生翌日の6月19日(火)に続いて、記録的な大雨に襲われた7月6日(金)と7日(土)、臨時休館し、対応可能な電話やメールを除いて館内サービスとボランティア活動を休止させていただきました。地震の際はエレベータが止まるなど、翌日の業務の見通しが立たなかったこと、大雨の際公共交通機関の運休により、職員やボランティア、利用者の来館・帰宅が危ぶまれたことが主な理由です。  気象警報発表時の臨時休館について、当館では以下の規定を設けていますが、それでは対応できない自然災害が相次いでいます。今後、規定に当てはまらない大きな災害が起きた場合は、来館前に当館のホームページをご覧いただくか、電話でお問い合わせ下さるようにお願いします。  http://www.lighthouse.or.jp/iccb/  代表電話06−6441−0015(非常時には可能な限り、留守電で情報を流します)  ◆「警報」発表時の館内サービス休止規定  当館では、大阪市内に「暴風警報」か「特別警報」が出た場合、以下のように「館内サービス」とボランティア活動を休止させていただきます(職員は可能な限り出勤し業務を行います)。 @午前7時現在、大阪市内に暴風警報か特別警報が出ている場合=午後1時まで休止 A午前10時現在、出ている場合=全日休止 B午前10時以降に出た場合=出た時点で休止 Cその他、館長が危険と判断した場合は休館することがある。  ◆V友の会施設見学会は神戸アイセンターへ  今年のボランティア友の会施設見学会は10月29日(月)10時15分から神戸アイセンター・ビジョンパークを見学した後、近くのホテルでランチバイキングを楽しみます。参加対象は当館ボランティア。詳細(申込受付)は次号10月号で。  ◆8月〜9月の休館日について  8月11日(土)〜16日(木)=全館休館。5階サービスフロアと図書貸出は17日(金)まで休室。  9月15日(土)=製作部の全係(6、7、8階)と図書貸出(アルテ別館)は休室。  9月22日(土)=メディア製作センターデイジーユニット(7階)と電子書籍ユニット(8階)休室。   拡大掲示板(2頁)  ◆“触”(しょく)の達人、小原二三夫(おばら ふみお)氏が各地で活躍  当館点字製作係職員で、触って読む・見る・作ることの達人、小原二三夫氏の講演や作品展がこの夏、各地で行われます。  近畿視情協点字製作委員会講演会「触欲から触力へ〜表現者・鑑賞者の立場から」=8月21日(火)14時〜16時、当館4階会議室。参加費500円(近畿視情協会員は無料)。参加申し込みは、電話 06-6441-0015の近畿視情協事務局まで。  兵庫県立美術館:アーティスト・トーク+対談「触覚が生み出す作品とは」=9月1日(土)15時〜17時。入館料一般500円。同館恒例の「美術の中のかたち〜手で見る造形」展、「触りがいのある犬〜中ハシ克シゲ」の関連事業。お問い合わせは、電話 078-262-0901の同美術館まで。  「手が生み出す木彫の世界〜手で見る小原二三夫、目で見る緕R賀行(くわやま がこう)」=(6月から)10月7日(日)まで毎月第1週の土・日、山梨県北杜市の八ヶ岳高原清里の森彫刻ギャラリーGAKOU(ガコウ)。小原氏の木彫作品13点と、小原氏の師である彫刻家緕R氏の作品を展示。維持協力金300円。お問い合わせは、電話 0551-483151の清里の森管理センターまで。  ◆「松鶴(しょかく)生誕百年祭」に笑福亭伯鶴(はっかく)さんが出演  「六代目笑福亭松鶴生誕百年祭〜笑福亭直系、勢ぞろいか!?」が9月7日(金)〜9日(日)の3日間(開演18時30分)、天満天神繁昌亭で開かれます。松鶴師匠門下の20人が日替わりで出演。9日の仲入り後に、当館の長年の利用者でもある笑福亭伯鶴さんが出演します。チケットは前売4,000円(当日4,500円)。お問い合わせは、電話06-6352-4874の天満天神繁昌亭まで。  ◆「川島昭恵語りCD〜新美南吉&宮澤賢治」発売  東京を中心に活躍している全盲の語り部、川島昭恵さんのCDが発売されました。新美南吉「手袋を買いに」、宮澤賢治「虔十(けんじゅう)公園林」他を収録。個性豊かな語り口が魅力です。定価2,808円+送料。お申し込みは、電話03-3200-1310の東京ヘレン・ケラー協会点字出版所まで。川島さんの語りの一端はインターネットの“YouTube”で見ることができます。  ◆「灯友会(とうゆうかい)」バザーが9月7日・8日開催  当法人の後援会「灯友会」の毎年恒例のバザーが9月7日(金)と8日(土)、4階会議室で開かれます。掘出物多数。収益は盲導犬育成に寄付されます。ご来館の際はぜひお立ち寄り下さい。    <<センターの頁>>   “耳で読む読書の歓びと悲しみ”を伝えて30年   「対面リーディングの難所物語」の二村 晃さんがご逝去  30年近く、当館の対面リーディングや録音図書を利用されるとともに、“音訳”について適確で、貴重な助言を与え続けてくださった二村 晃(ふたむら あきら)さんが6月末、老衰のため87歳で逝去されました。二村さんは大手広告代理店で活躍されていましたが、網膜色素変性症が進み、50代で当館に相談に来館。サービス責任者だった盤井(いわい)哲男職員の助言で白杖歩行の訓練を受け、音声パソコンや対面リーディング、録音図書の利用を始められました。読書家で、国語力に秀でておられたことから、当館の『対面リーディング通信』に1993年から「対面リーディングの難所物語」の執筆をお願いし、それを元に2010年には「耳で読む読書の世界〜音訳者とともに歩む」を出版。「難所物語」の連載は2017年まで142回も続きました。多くのボランティアと視覚障害者から慕われた二村さんを偲んで、2012年掲載の第68話「漢字の注釈をどう入れる?」を掲載します。(館長 竹下 亘)  私が、文字を自分の目でなく耳で読むようになって、そろそろ25年になります。今回は耳で読む読書について、年寄のよもやまばなしを聞いて頂けますか?耳で読むということは、重い本を手に持つ負担もなければ、ページを繰る手間もなく、至極楽チンなものです。真っ暗闇でも、目を閉じていても、読むことができるのです。 と言っても、耳で読むのが、目で読むのに及ばない決定的な違いがあります。それは、読むスピードです。耳で読む時間は、目で読む時間の3倍以上もかかります。音訳の最適速度は一分間に300字が標準とされています。私も黙読の場合なら、8百字から1千字は軽くこなしていたのですから、読書量がグンと落ちるのは止むを得ません。  しかも、手続きは厄介で、制約もいろいろとあります。読みたいものを読む対面読書の場合には、まず音訳ボランティアの目を借りて文字を拾い、まとまった文章を声に出して届けて頂いて、やっと私の耳が読むことができるのです。  図書館の対面読書室を押さえて、音訳ボランティアさんをその日に予約し、私を図書館まで運んでくれるカーヘルパーも、前月末に頼んでおかねばなりません。  このところの私は体調が悪く、月一回出かけるのがやっとで、エッセー教室の作品を読むのが精一杯です。カミさんに頼めば予約は不要ですが、家事の合い間をみて2時間のまとまった時間を取るのは不可能で、30分か1時間のコマギレになってしまいます。朝の新聞の連載小説か、スポーツ面のタイガース勝利の記事を読むのがやっとなのです。  対面読書でなく、テープやCDの図書を耳で読む場合には、家で待っておればいいので身体は楽ですが、あてがわれたものが殆どで、直ぐに読みたいものとはかぎりません。それに、音訳者が対面に居ないので、耳で読む私は最大の難所に悩まされることになります。難物は日本語の同音異義語、これが行く手を阻むのです。お手上げなのが、固有名詞の漢字です。「カワベ」といわれても、川辺か、河辺か?川部というのもありますし、旧漢字を使って、川邊と書く人もいます。  では、『吉田篤弘(あつひろ) 』という著者名。この漢字、あなたならどう伝えて頂けますか?  「ダイキチのキチ、タンボのタ、ニンジョウがアツいという意味の字、コウボウダイシのコウ」。『群像』の書評欄では、こんな具合に読まれました。『吉田』は注釈は不要ですが、「人情にアツい」と聞いて、まずは「厚い」が浮かびます。国語の素養のある人でないと「篤い」は出てこないでしょう。ここは、「タケカンムリにウマ、トクジツのトク」と、言って下さい。篤実の『篤』が簡単に出ます。「コウ」も字の形で、「ユミヘンにムで、コウボウダイシのコウ」と念を押せば『弘』も大丈夫でしょう。  新刊書紹介記事で、著者名や書名を音訳なさる時は、同音の漢字はないか、耳で読んですぐに書くことができるか?そんなことをちょっと考えて、注釈を入れて下さいね。   ●報告の頁(8頁)  ◆7月から「視覚障害」の認定基準が見直し  本年7月から、「視覚障害」に関する国の身体障害者手帳の認定基準が変わりました。「視力障害」については、これまでの「両眼の視力の和で認定」から「良い方の眼の視力で認定」に見直し。「視野障害」についても、中心暗点や周辺残存視野などへの評価が明記されるなど基準が明確化され、従来よりも日常生活の不便さに即した障害認定が行われることが期待されています。詳細は各自治体の障害福祉課へお尋ねください。  ◆8階製作部フロアの地震対策を完了  当館の本館と別館内の背の高い書庫や棚は、地震の際も倒れないように壁に固定したり、什器同士で支える工事を施してありますが、整備が遅れていた8階製作部(点字製作係と電子書籍ユニット)の什器の固定を7月初旬に行いました。6月18日の大阪府北部地震の際は、両館とも少し物が滑り落ちた程度で済みましたが、今後も油断は出来ません。特に本館では、最近数年間で模様替えした場所など、地震対策が不十分な箇所を続けて整備して行く予定です。  ◆「アミ・ドゥ・ブライユ」のご支援に感謝  当館発行の子ども向け点字雑誌「アミ・ドゥ・ブライユ」へのご寄附が続き、指定寄附だけで20人近くの方からご厚志を賜りました。同誌は現在111部を発行し、全国の子どもや学校に送っています。点字を読む子ども達の読書に対するご理解とご支援に、心から感謝を申し上げます。  ◆ボランティア友の会世話人会報告  7月5日(木)10:00〜12:00  出席者:小倉、川添、小泉、橋本、増尾、三原、雪岡、館から林田、松井  <館からの報告> ・災害時の臨時休館はHPで確認を、他  <協議事項> ・ガイド体験会の反省 ・施設見学会の検討  <次回>9月6日(木)10:00〜11:30  あゆみ 【7月】 5日 ボランティア世話人会 12日・19日 見学:大阪赤十字病院 17日・26日 見学:平野区人権啓発推進員 21日 オープンデー(1人) 31日 日本ライトハウス杯視覚障害者囲碁大会  予定 【8月】 1日 日盲社協・情報機器等支援者講習会(〜3日、岡田、松本) 2日 視覚支援学校生・職場体験(〜3日) 11日 夏期全館休館(〜16日。5階サービスフロアと図書・情報係は17日まで) 31日 わろう座「警部補 古畑任三郎」 【9月】 6日 ボランティア世話人会 8日 オープンデー(館内見学日、要予約) 14日 朗読録音地区表彰式(グランヴィア大阪) 15日・22日 振替休館日(一部休室。詳細は本誌1頁掲示板をご確認ください。)  編集後記 暑い毎日が続いていますが夏バテされていませんか?夏風邪がすっきり治らない私は、夕食につゆむらさきのポタージュを作ろうとしましたが、ご飯が余っていたので、つゆむらさきの牛乳おかゆにアレンジ。山芋のすりおろしも入れて、少しまったりさせました。食欲のないときは、夏野菜を胃腸にやさしく調理して、十分に睡眠をとりましょう。まだまだ暑さの続くこの夏を乗り越えたいです。(一) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2018年8・9月合併号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2018年8月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円