日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2018年7月号   <<表紙イラスト>>  武部はつ子画:眩く天の川の下、浴衣姿の弟とお姉ちゃん。願いを叶えてもらうべく弟の手には持ちきれないほどの短冊。『もっと遊びたい』『おこずかいUP!』『ステーキ食べたい』まだまだいっぱい。お姉ちゃんは呆れながら弟の頭をコツン。「欲ばり過ぎよ…!」弟は舌をだして「ひっ」   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●ボランティアの頁(2頁)   ●センターの頁(4頁)   ●感謝報告(4〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁)  ◆専門点訳「教科書・教材実践コース」を開講  毎日新聞大阪社会事業団と当館主催の第31回専門点訳講習会教科書・教材実践コースを10月初旬、開講します。小・中学校の主要5教科を中心に事例を持ち寄り、点訳技術や知識をさらに深める内容です。全回受講の他、希望教科の選択受講も可能です。ぜひお申込みください。  日時 10月3日(水)10時〜15時=理科、4日(木)10時〜15時=社会、5日(金)13時〜15時=その他(音楽・美術など)、9日(火)10時〜12時=国語、同9日(火)13時30分〜15時30分=英語、10日(水)13時30分〜15時30分=算数・数学  対象 現在、教科書・教材点訳をされている方  定員 各教科15人 費用 1,000円 申込 当館点字製作係(電話06-6441-1028)へ要項を請求の上、7月20日(金)までにお申込みください。応募者多数の場合は抽選となります。  ◆日本ライトハウス展に過去最多45社が出展  西日本最大の視覚障害者用具・機器展「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2018」(読売光と愛の事業団共催)を10月13日(土)、14日(日)10時〜16時、難波御堂筋ホール7階・8階で開催します。入場無料。昨年は出展44社・団体、来場1,714人で、共に過去最多を記録しましたが、今回はさらに多い45社が出展予定。特別ゲストとしてR-1ぐらんぷり優勝のお笑い芸人、濱田祐太郎(はまだ ゆうたろう)を迎えます。ボランティアの皆様には会場内ガイドのお手伝いのほか、お知り合いや関係者への広報にご協力をお願いします。  ◆7月〜8月の休館日について  7月14日(土)=振替休館日のため、6階録音製作、7階デイジーユニット、8階電子書籍ユニットと、別館の図書貸出は休止しますが、8階点字製作、5階サービスフロア、4階会議室、3階総務は開室します。  8月11日(土・祝)〜16日(木)=全館夏期休館。5階サービス部と図書貸出は17日(金)まで休室。  ◆大阪北部の地震被害について報告とお見舞い  6月18日の地震では、当館ではエレベータが半日〜1日停止、設備や雑物が少し散乱、震源周辺の職員宅内部がひっくり返るなどの被害がありました。休館日だったのも幸いしましたが、翌日は臨時休館させていただきました。被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。    <<ボランティアの頁>>(2頁)   ●アイマスクをつけて、「目から鱗」の貴重な体験   「ガイド体験会〜サポートの基本の“き”」に参加して  当館ボランティア友の会では5月29日午後、当館で毎年恒例の「ガイド体験会」を開催しました。今年は、「見えない・見えにくい人へのサポートの基本の“き”」と題して、当館の花田、林田職員の手ほどきの下、20人が参加。「見えない・見えにくいってどんなこと?」から始まり、ガイドやコミュニケーションの方法など、いざという時に役立つ情報や実技を楽しく学びました。当日の様子を友の会世話人会の川添美智子さん(音声解説ボランティア)にご報告いただきました。  「ハイ!ではアイマスクをつけてください。」  皆がいっせいにマスクをつける。  「では、お弁当を目の前におきます。お箸と醤油袋がのっています。お茶は右側です。」  手探りでそれをたしかめる。お弁当とお茶がたしかにある。  まずお箸。ちゃんと袋から取り出せた。次に醤油の小袋?どこを切ろうとしても切ることができない。  醤油は諦めて食べることにする。まず右手前の天ぷら。ちゃんとつかめて、口に入れる。変な舌触り。しまった!しっぽごと食べてしまったらしい。そっと口から出す。  次は左側のシラスご飯。ふんわりした感触。ちょっと混ぜて、箸ですくって口に入れる。ところが、箸のみ口の中に。これではご飯が食べられない。諦めて、天ぷらの向こうにあるという煮物を探す。あれ?ほんとにあるの?  「では、アイマスクを外して、あらためて食べてください」の声。やれやれ。マスクを取ってみると、ちゃんとあるではないか!シラスご飯も煮物も。見えないってこういうことだったの(トホホ)。  写真:シミュレーションレンズを使った体験。シミュレーションレンズ(白内障や視野狭窄の見えづらさを模したレンズ)をかけて、普通の文字と背景を黒・文字を白にした場合の見え方の違いを体験中。  ガイド体験では、2人1組でガイドしたり、されたり。これは、しっかり相手につかまっていれば、安心して歩けた。でも、もし白杖をもって1人で歩けと言われたら、万事休す! いや、「目から鱗」の思ってもいなかった貴重な体験をさせていただいた。  そして、改めてこの情報文化センターは音訳と点訳など、本に関することだけでなく、リハビリテーションや盲導犬の育成、貸与など、他にもいろんなサービスを行っている施設をもつ、視覚障害者の総合福祉センターだということも知った。  ほんとにいい体験をさせていただきました。有難うございました。  ◆参加者のアンケート回答より◆  ○障害も人によりいろいろで、それぞれに応じたサポートが必要でまずはどのようなサポートをさせていただければよいのかを尋ねた方がよいということがわかりました。  ○アイマスクをして歩くのはこわかったです。見て歩いている時は気にもとめないような地面(床)のわずかな凸凹や車の音、人の声が気になり不安でした。どこを歩いているのか、どんな状況か知りたいと思いました。自分が手引きした時、うまく伝えられなかったと反省です。  ○(ガイド体験では)常にぶつかりそうな不安があり、丁寧に声かけしていただくと安心に繋がりました。  ○駅などで、白杖の人を見かけても、今迄は手引きの仕方もわからず気遅れして声かけができませんでした。今後は積極的にお手伝いしなければと思いました。    <<ボランティアの頁>>(3頁)   ●7年間のボランティア友の会世話人会を終えて   一番の宝物は、沢山のお知り合いが出来たこと  点字製作係ボランティア  山本 普実雄  2011年の年初めだったと思いますが、水曜日にいつものように8階の点字製作室で第1校正の読み合わせをしていると後ろから、  「山本さん、ちょっとお時間いいですか?」と、点字製作係職員の奥野さんの声。 「あ、いいです。何ですか?」 「実は、引き受けて頂きたいお願いが有るのですが・・・!」 「どんな事でしょうか?。私に出来ることで有れば・・・!」 「出来ます。出来ます。実は、友の会の世話人をお願いしたいのですが・・・!」  このやりとりの後、2017年までの7年間が、あっという間に過ぎ去って行きました。最初の年はただ何となく2ヶ月に一度、奇数月の一週目の木曜日に、10時から11時30分まで、4階会議室で行われる世話人会に、ただ義務感だけで出席していたように思います。恥ずかしい話ですが会議が行われる当日、うっかり忘れてしまい、8階で点字の読み合わせをしていた事も一度有りました(懺悔の意味を込めて初めて告白します。申し訳ございません)。  2年目に入り、会計監査を務めたあたりから、少し気持ちに変化が生まれ、積極的に取り組めるようになり、それは諸先輩、担当職員の方々の、1年間を通じてアットホーム感が大きかったと思っています。  3年目から3年間会計を務め、6年目の2016年から2年間、先輩の方々が長年の務めを終え、退任されたので、世話人の中で年数だけは一番長いという事で、力不足ですが、私が代表を務めさせて頂くことになりました。  「ガイド体験会」「施設見学会」「総会・交流会」等、友の会主催の行事について悩んだり、安堵したり、また心配したり、色々なことが思い出されます。  写真:今年3月の交流会で司会をする山本さん  特に記憶にまだ新しい所ですが、昨年の「施設見学会」で、天満天神繁昌亭へ落語を聞きに行きました。前々から台風接近の為、当日天候不安な所も有り、また皆様の体調等も有り、来て頂けるか心配していました。が、開けてみると誰一人欠けることなく、予定通り全員43名の方に参加して頂きました。私だけかも知れませんが、下見(これがまたほんとに楽しい)等、準備に費やした思いも吹っ飛び、日本ライトハウスボランティア友の会の皆様が、何か誇らしく、世話人冥利に尽きる一日となりました。  以前はやりたければ何年でも(逆に長い期間で希望者がいない)という時もあったようですが、昨年あたりから、「多くの方に経験して頂ければ」という事で、基本的に2年間、お願いしているようです。  友の会は皆様一人ひとりの力で成り立っています。職員の方から声が掛かれば、少し時間は取られますが、ぜひ体験して頂ければと、今は思っています。沢山のお知り合いも出来ました。今では一番の宝物だと思っています。  私事ですが、終えてみれば楽しい7年間でした。指導して頂いた諸先輩、特に代表時に協力して頂きました世話人、職員の皆様、本当に有難うございました。  最後になりますが、これまで以上のご支援をお願いして、支えて頂きました皆様に改めてお礼を申し上げます。本当に有難うございました。    <<センターの頁>>(4頁)   ●マラケシュ条約承認、改正著作権法可決、読書バリアフリー法が進行中  本誌でも時折ご紹介してきた「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」が4月、国会で承認。続いて5月、この条約批准に合わせた著作権法の改正が国会で可決(施行は来年1月の予定)。さらに現在、国会議員により「読書バリアフリー法」が立案されています。全視情協では、この流れにより利用対象者の拡大が予想されるサピエ図書館への国庫補助を行政機関に訴えており、今年度、視覚障害者等の情報保障が大きく進む可能性が高まってきました。朗報をご期待ください。(館長 竹下 亘)   ●報告の頁(8頁)  ◆解説放送の新指針15%以上を目指して  総務省は、放送分野における情報アクセシビリティの向上を図るため、字幕・解説放送及び手話放送の普及目標を新たに定めました。解説放送は、2027年度までの目標として、NHK・民放広域局はこれまでの10%から15%以上(NHK教育は20%以上)に拡充(対象となる放送時間は、7時から24時)。ただし対象外の番組として、5.1chサラウンドや主音声に付与する隙間のない放送番組(生放送を含む)など技術的な問題や課題を抱えています。上記に基づき、5月31日、「視聴覚障害者等向け放送に関する意見交換会」が行われ、総務省、放送事業者、障害者関係団体(当館の林田も委員として出席)が話し合いました。質の向上や関係団体との連携、今後注目されるであろうオリンピックやパラリンピックに向けた生放送のあり方なども話題となりました。  ◆有末道さん、本村英子さんが朗読録音表彰  公益財団法人鉄道弘済会の今年度第48回朗読録音奉仕者・西日本地区表彰を当館ボランティアの有末道さん(朗読録音)と、本村英子(ひでこ)さん(DAISY編集)が受賞されました。有末さんは約30年にわたり、専門書多数を含む合計2,855時間余の音訳録音を続けて来られたこと、本村さんは録音活動に加え、約17年にわたり、専門書を中心に1,256時間余のDAISY編集を仕上げられたことが高く評価されたものです。お二人のご受賞をお祝いするとともに、今後ますますのご活躍をお祈りしたいと思います。授賞式は9月14日に行われます。  ◆チャリティコンサートのご協力に感謝  6月17日(日)、ザ・シンフォニーホールで行った当法人のチャリティコンサートには多数のボランティアの皆様にご来場、チケット購入のご協力をいただき、ありがとうございました。お陰様で、川畠成道さんと大阪市立菫中学吹奏楽部の演奏も好評を博し、喜んでいただけました。次回もまたどうぞよろしくお願いいたします。  あゆみ 【6月】 6日 近畿視情協総会・研修会 9日 オープンデー(館内見学日、4人) 13日 全視情協・新任研修会、総会(〜14日) 15日 専門音訳「東洋医学コース」開講 17日 チャリティコンサート(ザ・シンフォニーホール) 18日 臨時休館(大阪北部地震復旧のため) 21日 日本盲人社会福祉施設大会(〜22日、下関市、竹下、山岡) 23日 中央区バリアフリー上映会(中央会館)  予定 【7月】 3日 専門点訳「英語点訳コース」開講 5日 ボランティア世話人会 5日 全視情協サピエ研修会(〜6日、東京) 21日 法人人権研修(鶴見事業所)    オープンデー(館内見学日、要予約) 31日 ライトハウス杯視覚障害者囲碁大会  編集後記 最近の日課は、サピエ図書館のデイジーダウンロード人気ランキングを見ること。目当ては、当館製作のシネマデイジー「古畑任三郎」です。サピエにアップしてわずか10日間でダウンロード数553件と常に上位と好調の滑り出し。全視情協では、テレビ番組のシネマデイジー化にも力を入れていく方針を立て、作品数を増やしていく狙いもある。作り方もよりテレビ番組らしさを意識している。京都ライトハウスの「半沢直樹」も好評だし、シネマデイジーはまだまだ可能性を秘めている。(茂) ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2018年7月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2018年7月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円