日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2018年3月号   <<表紙イラスト>> 大輪の花々の花びらが風に舞う中、満面の笑みの少女がコートと手袋を脱ぎ捨て、はずみながら駆ける「さぁコートを脱いで〜♪〜」少女の後を追う犬が「ボク、脱げない…」   <<目次>>   ●掲示板(1頁)   ●センターの頁(2〜4頁)   ●感謝報告(4頁〜7頁、別ファイル)   ●報告の頁(8頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁) ◆新年度の点訳・音訳講習会にご参加ください 当館では、2018年度もさまざまな点訳・音訳ボランティア講習会を開講します。その一覧を本誌2頁に掲載しました。新しくボランティアを始めてくださる方、中堅・ベテランの方の技術向上なしに、視覚障害者の方々の読書、勉強、情報利用は成り立ちません。ぜひご受講と周囲の方々への広報のご協力をお願いいたします。 ◆フィジーとネパールの青年が当館で研修    ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー第19期生として、昨年9月から来日中のフィジーのクリッシュさん(男性、27歳)とネパールのラクシミさん(女性、26歳)が3月6日から24日まで当館で研修します。二人の研修テーマは、情報をはじめ社会全体のアクセシビリティ(利用しやすい環境整備)で、当館を中心に幅広い研修を行います。3月8日のボランティア交流会にも参加しますので、館内で出会ったらぜひお声をかけてください。 ◆「警報」時のボランティア活動休止規定を変更  当館では4月から、大阪市内に「暴風警報」か「特別警報」のいずれかが出た場合、以下のようにボランティア活動と館内サービスを休止させていただきます(職員は可能な限り出勤し業務を行います)。これまでは、「暴風・大雨・洪水」等すべての気象警報を対象とし、適用地域も「大阪府内」としていましたが、実状に合わせて規定を変更しました。もちろん、この規定に当てはまらない場合でも、お住まいの地域や交通経路に警報が出て、ご来館が無理な時はお休みいただいて結構です。どうぞご了承ください。  @午前7時現在、大阪市内に暴風警報か特別警報が出ている場合=午後1時まで休止  A午前10時現在、出ている場合=全日休止  B午後10時以降に、出た場合=警報が出た時点で休止  Cその他、館長が危険と判断した場合は休館することがある。 ◆3月31日(土)は5階サービスフロア臨時休室 年度末の棚卸しのため用具・機器販売と講習、対面リーディングを休ませていただきます。   <<センターの頁>>(2〜4頁)拡大掲示板   ●点訳・音訳ボランティア講習会のご案内  当館で点訳・音訳活動に従事していただけるボランティアを養成するため、新年度、以下の通り養成講習会を開講します。 ◆点訳ボランティア養成講習会  日時 前期:5月10日〜7月26日、後期:9月6日〜12月20日、毎週木曜日10時〜12時、全25回。  費用 無料。点訳テキスト代実費。  説明会 4月19日(木)10時〜12時30分。筆記試験を行います。  対象 点字の学習が初めての方。定員10人。  申込 要項を請求の上、4月13日(金)までに点字製作係(電話06-6441-1028)まで。 ◆音訳ボランティア養成講習会  段階的に(1)(2)(3)の3コースがあります。初めての方は(1)にお申し込みください。他施設・グループ等で受講・活動経験などをお持ちの方は、(2)からお申し込みいただけます。 @音訳ボランティア養成講習会(1)  クラス 火曜と水曜の2クラス、各・全15回  日時 火曜コース:4月17日〜8月7日(7月3日、31日を除く) 13時〜14時50分。  水曜日コース:4月18日〜8月8日(7月4日、8月1日を除く) 13時〜14時50分。  費用 受講料7,000円 A音訳ボランティア養成講習会(2)  クラス 火曜と水曜の2クラス、各・全16回。  日時 火曜コース:4月17日〜8月21日(7月3日、31日、8月14日を除く) 15時〜16時50分。  水曜コース:4月18日〜8月22日(7月4日、8月1日、15日を除く) 15時〜16時50分。  費用 受講料7,000円 定員 15人 ※受講には事前にマイクテストがあります。 B音訳ボランティア養成講習会(3)  日時 前期:5月9日〜8月29日(8月1日、15日を除く)、後期:9月26日〜3月6日、毎週水曜日10時〜12時、全30回(前期・後期各15回)。 定員15人  ※受講には試験があります。また後期の受講 には中間試験(9月12日)の合格が必要です。   ●図書貸出ボランティアを緊急募集 本誌7頁の感謝報告に掲載している通り、当館の点字・録音図書の貸出作業は多くのボランティアの方々に支えられています。現在、手が足りなくなり困っています。ぜひどなたかにご協力をお願いいたします。 日時 火曜日午後、水曜日午前か午後のいずれか │ 場所 別館 図書・情報係(本館から徒歩2分、アルテビル9階) 作業 デイジー雑誌の発送・返却作業他 お願い パソコンが使えて、基本的に毎週ご来館頂ける方にお願いします。お問い合わせは、図書・情報係(電話06-6441-0139)までお願いします。 申込 要項を請求の上、(1)は4月6日(金)まで、(2)と(3)は3月30日までに録音製作係(電話06-6441-1017)まで。   ●第31回専門点訳・音訳講習会を開講  毎日新聞大阪社会事業団との共催で、近畿地域の点訳・音訳ボランティアを対象に開いている専門点訳・音訳講習会が31回目を迎えます。今回は以下のような講習会を予定しています。定員はすべて15人です。奮ってご参加ください。 @専門点訳「英語点訳コース」  日程 7月〜8月の予定、全8回  講師 当館職員、専門点訳指導者 A専門点訳「教科書・教材点訳実践コース」  日程 10月初旬から開講の予定、全8回  内容 国語、英語、算数・数学、理科、社会、その他の教科書・教材点訳の実習  講師 当館職員、専門点訳指導者  対象 既に教科書・教材点訳に携わっている方 B専門音訳「英語コース」  日程 5月11日〜6月29日(5月25日を除く)、毎週金曜午後の予定、全7回  講師 音訳「英語チーム」所属ボランティア C専門音訳「東洋医学コース」  日程 6月15日〜7月27日、毎週金曜日の予定、全7回  講師 音訳「東洋医学チーム」所属ボランティア   ●マルチメディアデイジー、HyMe、シネマ・デイジーの普及を推進 一ツ橋綜合財団のご助成で、今年度も新たな成果  当館では、公益財団法人一ツ橋綜合財団のご助成により、印刷された図書を読むことが困難な子どもたちのためのマルチメディアデイジー図書・教科書の製作・提供と、耳で観る映画「シネマ・デイジー」などの音声解説事業を行っています。2008年に開始したマルチメディアデイジー図書・教科書の製作・提供事業は今年で10年目を迎え、ディスレクシア(読字障害)にとどまらず、地域の学校に通う視覚障害児童・生徒のための教科書の視覚的資料(図・表・写真等)を簡易マルチメディアデイジーにして配信する「音訳教材データベース」の研究事業に発展しています。また、シネマ・デイジーをはじめとする音声解説事業では、全国の施設を対象にした講習の実施、各地でのバリアフリー映画会の企画・協力などを行い、普及に努めています。(製作部長 久保田 文)   ◆子どもの就学、進学に役立つ図書を提供  マルチメディアデイジー(以下、MMD)の製作・提供では、小学生から高校生までを対象とした図書をサピエ図書館や当館のダウンロードサービスから配信しています。当館のMMD図書は、特に視覚障害の子どもたちも利用できるよう、写真や図の説明を画像と音声の両方で提供しているのが特徴です。弱視のため、パソコンやiPadなどの画面だけでは画像を認識するのが困難な子どもは画像と音声の両方で、全盲の子どもは音声で1冊の本を楽しむことができます。今年度も、約40人のボランティアの皆さまのご協力のもと、昔から学生たちに読まれてきたベストセラーや大学受験のための参考書、就職活動に向けたビジネス会話のテキストなどを製作・提供することができました。(写真 「ビジネス会話力検定」の原本とMMD) ◆HyMe事業の「音訳教材データベース」が稼働  電子書籍と専門音訳の統合発展をめざすHyMe(ハイミー)事業では、文科省の「音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究」事業で2014〜2016年度にかけて開発した「音訳教材データベース」(以下、音訳DB)の利用が始まりました。  音訳DBは、教科書ごとに視覚的資料の音訳データを蓄積し、視覚障害の生徒や担当教員がダウンロードして利用できる、クラウドを活用したシステムです。一つの視覚的資料に対して一つのフォルダを作り、作成したフォルダに視覚的資料の画像と音訳データ(音声ファイル)をアップロードしていくのですが、最大の特徴は、自動的に画像と音訳データが同期し、教科書1冊分の視覚的資料が簡易マルチメディアデイジー化される点です。  教科書の視覚的資料の音訳データを音訳DBにアップしているのは、当館に教科書・教材等の視覚的資料の専門音訳者として登録してくださっている全国の音訳ボランティアの方々です。  今年度は、地域の高校に通う弱視生徒に、日本史と現代文の音訳教材を音訳DBから提供しました(現代文は本文を音訳)。この生徒は、iPadで教科書のPDFデータを表示させ、文字の部分をiPadに内蔵されている合成音声で読み上げさせていたのですが、誤読が多すぎて意味が理解できず、この2教科は合成音声でなく、ぜひ音訳者による音訳で読みたい、と相談に来られた方です。日本史の教科書は特に情報量が多いので、音訳者、校正者の方々に大変なご苦労をおかけしましたが、生徒からは「図や写真を説明してくれるのでありがたい。冬休み中に音訳教材で勉強できるのでうれしい」という声が届きました。さらに、新規で次年度の音訳教材を希望する生徒もおり、迅速かつ低コストを売りにする電子教材が注目を浴びる今日にあってなお、最後は人による音訳が必要とされるのだということを痛感しています。  機械にできることは機械に任せ、人の能力は人にしかできないことに使い、両者の利点を最大限に活用する。−−これがHyMe事業の戦略です。これからも、紙の教科書だけでは理解が困難な視覚障害やディスレクシアの子どもたちの学習の一助となるよう、電子書籍技術の調査研究、専門音訳者の養成を進めてまいります。 ◆広がる「シネマ・デイジー」とUDCast  シネマ・デイジーは、著作権法第37条に則り、映画のサウンドに登場人物の表情や動作、画面の様子を説明する音声解説を付けてデイジー編集したものです。当館が先鞭をつけて製作・提供を開始してから5年になります。当館の林田が全国視覚障害者情報提供施設協会のシネマ・デイジー検討プロジェクトのリーダーを務め、全国の施設に向けた講習会や品質確認・助言などを行った結果、現在13館がシネマ・デイジーを製作し、サピエ図書館から提供しています(2018年1月末現在の提供数は342タイトル、ダウンロード累計数は475,367回)。さらに、一昨年の12月からは映画館でも、スマホやタブレットのアプリUDCast(ユーディーキャスト)を使って、音声ガイド付き映画を楽しんでいただけるようになりました。自動的に音声ガイドの同期ができるので、対象の映画であれば、いつでも、どこの映画館に行っても観ることができます(導入後1年で対象作品は70作品を超えました)。このUDCastをもっと多くの方々に利用していただくためPR映像「UDCast使い方ガイド」を作成し、体験会を実施しました。当館ではこのような成果を基に、来年度もさらに、新しいメディアとボランティアの方々の力を結びつけて、視覚障害者をはじめ読書障害者の方々の便利で、豊かな情報環境の実現に取り組んでまいります。(写真 UDCastの操作画面)   ●報告の頁(8頁)  ◆「ボランティア友の会文庫」の新収蔵書  当館3階の資料書庫は「ボランティア友の会文庫」として、視覚障害関係資料を所蔵し、当館のボランティアの方に貸し出しています。この度、以下のような資料を収めましたので、ご紹介します。閲覧・貸出のお申込みは、お気軽に3階総務係まで。  【単行本】中田完二「一寸先は光〜それでも生きたい」、R.V.ハイン「視力のない世界から帰ってきた」、E.ヴァイエンマイヤー「全盲のクライマー、エヴェレストに立つ」、郡司ななえ「見えなくても…私」、稲垣吉彦「見えなくなってはじめに読む本」、R.セドリス「盲目の犬ぞりレーサー」、G.ヴァーメイ「盲目の科学者」。  【DVD】「灯りを掲げて90年/100年に向かってGO」(日本ライトハウス90周年記念)、「録音図書誕生50年/情報提供の歩みと将来を考える」(2009年、同イベントの録画)  ◆音声解説担当職員として馬場玲衣を採用  当館3階総務係に音声解説担当職員として1月9日付で馬場玲衣(ばば れい)を採用しました。現在は非常勤ですが、4月からは常勤になり、音声解説業務を担当するほか、総務の業務も補助しますので、よろしくお願いします。なお、昨年6月から音声解説業務を補助してくださった廣野美代子さんは今後ボランティアとして活動してくださいます。  ◆木塚泰弘前理事長がご逝去 当法人第4代理事長の木塚泰弘(きづか やすひろ)氏が2月9日、心不全のため逝去されました。82歳でした。木塚氏は17歳で失明。盲学校から早稲田大学で学んだ後、盲学校教員に。国立特殊教育総合研究所(最後は部長)に転じて盲学校教育の革新に貢献された後、1999年から2014年まで当法人の理事長を勤められました。また日本点字委員会会長、共用品推進機構理事などとして点字やユニバーサルデザインの発展に寄与し、2016年には第53回点字毎日文化賞を受賞されました。心からご冥福をお祈りいたします。  ◆ボランティア友の会世話人会報告  1月11日(木)10:00〜11:45  出席者:山本、神谷、森、那須、橋本、小倉、雪岡、増尾、館から竹下、林田、松井 <館からの報告> ・当館の職員配置状況について ・ヘレン・ケラー没後50周年行事について (11月23、24日、中之島公会堂で開催)  <協議事項> ・来年度の世話人交替について ・ボランティア友の会交流会、総会について <次回>3月7日(水)10:00〜11:30  あゆみ 【2月】 10日 振替休館(別館図書・情報係、8階電子書籍係、6階録音製作係のみ休室) 17日 オープンデー(館内見学日、参加5人) 21日 見学:京都ライトハウス新任職員 23日 わろう座映画会体験会 24日 福島令子・守田稔講演会(4階)  予定 【3月】 1日 対面リーディングボランティア研修会 6日 ダスキン第19期研修生来館(〜24日) 7日 ボランティア世話人会 8日 全館休館:ボランティア交流会(玉水記念館)・情報文化センター職員会議 9日・10日 点訳・音訳体験オープンデー 20日 音訳ボランティア講習会(3)修了式 23日 日本ライトハウス評議員会・理事会 31日 5階サービスフロア臨時休室(棚卸)  編集後記 2月は平昌五輪に盛り上りました。特にハマったのが氷上のチェスとも呼ばれているカーリングです。この競技には独特のスタイルがあって、TVの放送時には選手にピンマイクが付けられています。作戦のやり取りが面白く、チームの一員になったような臨場感も味わえます。約2時間半の試合の間はずっとしゃべっていて会話力が得点に直結していると思うと会話も楽しめます。『そだねー(北海道弁)』に癒されたのは僕だけでしょうか…(茂)    ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2018年3月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2018年3月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円