日本ライトハウス情報文化センター   「ワンブックワンライフ」2017年12月号  <<表紙イラスト>> 星が瞬く夜道をサンタクロースの乗せたソリをひいて「電動自転車にかえたの〜♪」と言いながら疾走するトナカイ。サンタクロースは後ろへ仰け反りつつ左手に手綱を持って「スピード出し過ぎじゃ!!」  <<目次>>  ●掲示板(1頁)  ●ボランティアの頁(2頁)  ●利用者の頁(3頁)  ●センターの頁(4頁)  ●感謝報告(4頁〜9頁、別ファイル)  ●報告の頁(10頁)  以下は本文です。   ●掲示板(1頁) ◆和波たかよし氏が当館でお話と演奏 12月10日(日)13時〜16時、当館4階で開催される「点譜連(点字楽譜利用連絡会)の集い」で、代表を務めるバイオリニストの和波たかよし氏のお話と演奏「点字楽譜に支えられて〜音楽活動のエピソードから」が行われます。和波さんが学生時代から演奏活動、教職まで、さまざまな場面で点字楽譜がどんな役割を果たしたかを語り、バッハの「ガヴォット」ホ長調やイザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調バラード」を生演奏します。後半は参加者による点字楽譜についての意見交換。参加無料。申込不要。どなたでも参加できます。点譜連は、全国の点字楽譜の活用、普及を目的に、2005年、皇后陛下の御下賜金を元に発足した団体で、この集いや講習会、セミナーを開催しています。 ◆中山UD映画祭にご招待  公益財団法人中山視覚障害者福祉財団主催、当館協力の「中山UD映画祭Vol.3」が12月15日(金)13時から15時30分、神戸市立新長田勤労 市民センター別館3階「ピフレホール」で開催。昨年公開された“じつは‘実話’な痛快歴史エンターテインメント”「殿、利息でござる!」を当館製作の音声解説(と日本語字幕)付きでバリアフリー上映します。入場無料。視覚障害者の方優先ですが、当館のボランティアもご招待します。当館3階総務係カウンターでチケットを差し上げますので、お申し出ください。 ◆灯友会のクリスマスコンサート開催  日本ライトハウスの後援会「灯友会」のクリスマスチャリティコンサートが12月9日(土)14時より当館から徒歩1分の北京料理徐園で開催。男性コーラスとイングリッシュハンドベルの演奏。軽食付き3,500円。お申込みは灯友会事務局(電話06-6961-5521、当法人本部内)まで。 ◆年末年始のボランティア活動について  12月26日(火)=図書貸出、対面リーディング、用具販売最終日/12月27日(水)=ボランティア活動最終日ですが、係により12月28日(木)まで行いますので、ご確認をお願いします。  1月5日(金)=仕事始め/1月6日(土)=サービス再開。ボランティア活動は係により6日(土)か9日(火)の再開ですのでご注意ください。   <<ボランティアの頁>>(2頁)   ●秋の日の娯楽三昧 ボランティア友の会の「施設見学・交流会」で落語とランチを堪能 当センター・ボランティア友の会では毎年、近隣の関係施設の見学会を行っています。今年は趣向を変え、ボランティア同士の交流を深めることを主眼に、10月31日、天満天神繁昌亭に出かけ、落語を楽しんだ後、近くのホテルで視覚障害のアマチュア落語家をゲストに美味しいランチを堪能しました。当日の様子を友の会世話人の雪岡加奈子さんに報告していただきました。  爽やかな秋空の下、ボランティア39人と職員2人の41人、天満天神繁昌亭へ繰り出しました。両脇に柳を構えた風情ある小屋、法被姿でキビキビ立ち働くお兄さんたち、建物の内外に所狭しと下げられた多くの提灯……。 「朝席って知らん名前ばっかりやけど」なんていう失礼な不安はどこへやら、五者五様の演目に笑ってばかり。演者さんの着物や「めくり」の文字、舞台の趣向などにも目を奪われ、あっという間の1時間半でした。(たまたまわかったのですが、繁昌亭のスタッフのお一人が自分の書かれたものを点訳してもらったことがあるとのこと。何かご縁を感じました。)   「天満天神繁昌亭」  大川縁をそぞろ歩いて次に目指すは、キャッスルホテルでのランチバイキング。ここからは、ゲストにお招きした視覚障害のアマチュア落語家さんと手引きの方2人も加わって総勢43人です。「あっちにこんなお料理あったよ」と情報交換も抜かりなく、いろいろな種類のご馳走に舌鼓。食べるばかりではありません。そこは熱心なボランティアさんぞろいのこと、隣り合わせた方たちとは「どんな活動なさってるの?」と異業種間意見交流も活発に行われました。あるようで無い貴重な時間、もう少しおしゃべりしたかったぐらいです。それにしても、ライトハウスの活動は幅広い!改めて実感です。   ランチバイキングのあとに落語を一席  最後に再び落語家さん登場。視覚障害者の「半丸亭寿近」さん。アマチュアとおっしゃっていましたが、なんのなんの。午前中の繁昌亭に勝るとも劣らぬ話しぶりで、ここでも笑い爆発。落語の後は、「どうやって落語を覚えるのですか」「プロにはならないのですか」「その帯は何でできてるんですか(実は長さ3mの本物の蛇の皮とのこと!)」など私たちの遠慮の無い質問にも丁寧に答えて下さいました。これにてお開き、おなかいっぱい、笑いいっぱい、大満足の1日でした。大阪にも知らないところ、行ったことのないところがまだまだあります。また皆さんで出かけたいものですね。ところで・・・落語家さんのお名前読めましたか?「せみまるてい じゅにあ」とお読みするそうです。半丸はセミプロを意味してるそうですが、プロ意識の高い落語家さんでした。私たちもしっかりプロ意識を秘めながら丸を目指したいですね。それでは、お後がよろしいようで。(点字製作係ボランティア 雪岡加奈子)   <<利用者の頁>>(3頁)   ●“声かけ”をしたことのあるボランティアは45% 「ブルックの会」が駅ホームでの転落の危険と声かけの実態を調査  去る10月1日夜、JR阪和線富木(とのき)駅で視覚障害の方がホームから転落、快速電車にはねられて亡くなるという痛ましい事故がありました。事故が起きる度にメディアで大きく報じられますが、事故に至った状況や考えられる原因等の分析をし、広く報告されることはありませんでした。 そこで、視覚障害当事者と支援者で作る「視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会」では、7月から視覚障害者と晴眼者にそれぞれアンケートを実施。10月14日、大阪・天満橋のドーンセンターで「徹底分析!駅ホームでの視覚障害者転落の危険と声かけの実態」と題して集計結果の概要報告を行いました。90人余が参加し、お二人の体験発表や専門家から単なる不注意だけでなく、「見えない」ことで事故を誘発しやすい駅の構造や視覚障害者の行動の特性についての講演があり、貴重な意見交換と情報共有ができました。(ブルックの会運営委員 加治川 千賀子)     ホームからの転落を誘発する「状況の勘違い」  アンケートはふだん駅ホームを一人歩きされている視覚障害者に限定した118人、晴眼者は日頃から視覚障害者に関わりのある京阪神や関東のボランティア、バリアフリーを学ぶ大学生など合計443人から回答をいただきました。  視覚障害者には、「転落やひやりとした経験の有無」「その時の状況」「最近の声かけの状況」等について質問しました。 この10年で「ホームから転落、または転落しかけた」経験がある人は56人(47%)で、「方向やどこにいるかはわかっていた」は56人中37%、「方向またはどこにいるかがわからなくなった」は37人(66%)でした。 そこで、ホームから転落、落ちそうになった状況を18種類の具体例をあげて質問したところ、56人中82%の人が「ホーム上での勘違い」に結びつく13項目にチェックをされました。  例をあげると、「向こう側の線路に入った電車をこちら側に電車が入ったと勘違いした」が26人(46%)、「島式ホームで反対側のホーム端に近づき落ちた/落ちはしなかったが危なかった」は13人(23%)でした。他には「考え事をして落ちそうになった」「ホーム端の点字ブロックと階段部の点字ブロックを間違えた」などが上位に上がりました。一般的に転落の原因の6割と言われている「飲酒による影響」は118人中4%に過ぎませんでした。自分では立ち位置がわかっているように思えても、実際には「見えないことによる勘違い」を誘発する状況がホーム上には存在することが見えてきました。 「声かけ」をする側、される側の思い  「声かけ」は、昨年8月の銀座線青山一丁目駅の事故後、鉄道事業者をはじめ、取り組みが強化されてきました。1年が経過し、どのような変化があったか、それぞれの方に声かけの状況や効果について調査しました。声かけが「増えた」と感じている視覚障害者は全体の73%、「よくなった」は26%ありましたが、「声かけで困ることも増えた」も26%と同数になりました。  晴眼者の内訳は、443人中ボランティア315人、学生81人です。「手引きの講習を受けた」は54%と9%、「手引きの経験がある」は60%と5%と、ボランティアと学生で大きく異なりました。また、「声かけをしたことがある」は45%と7%でした。「声かけができなかった」理由は「手伝う方法や範囲がわからない」という回答もありましたが、ボランティアの中には「以前に声をかけたが断られ、声かけをためらった」の回答が7%おられました。声かけについて、視覚障害者と晴眼者との間に微妙なすれ違いが見えてきます。お互いの状況がよくわかり合えていないからかもしれません。  転落や声かけの回答にはその状況を記したコメントがたくさん寄せられています。今後、綿密に分析を行い、報告書を作成して、視覚障害の方が安全に一人歩きができる環境の整備や事故防止に役立てていきたいと考えています。  晴眼者向けのアンケートは初めての試みで、非常に意義があったと思います。当館のボランティアの皆さまから179人の回答をいただきました。ご協力に感謝申し上げます。     <<センターの頁>>(4頁)   ●全視情協大会で録音図書の「質」について研修・協議  全視情協(特定非営利活動法人・全国視覚障害者情報提供施設協会、加盟101施設・団体)の今年度第43回全国大会が10月19日〜20日、当館の主管で新大阪のホテルで開かれました。韓国を含め全国81ヶ所から約230人が参加し、「情報共有社会の実現を目指して〜ボランティア活動の推進と公的な情報保障の拡大」をテーマに、情報保障の進め方やサピエの今後の展開、点訳・録音・電子書籍の専門技術等、広範なテーマについて協議、研修を行いました。  今回特に熱心な研修・協議が行われたのは、録音図書の「質」の向上についてでした。サピエ図書館の音声デイジー図書は現在9万タイトルを超え、日毎に増えていますが、最近読者からの苦情が少なくありません。  過去5年間に読者からサピエ事務局に寄せられた苦情をまとめると、読みについては「読みが単調で暗い」「イントネーションが不自然」「文章が途中でぶちぶちと途切れ、内容がつかめない」「ぎくしゃくした読み」「語尾が常に上がる」「早口で不明瞭」「誤読が多い」「図表の読みが省略され、重要なことが伝わらない」といった指摘がありました。またデイジー録音・編集についても「音が小さい」「雑音が入る」「デイジー編集が不適切」などの指摘が挙がっています。  大会では、指摘を受けた録音図書を実際に聴き、どこに問題があるのか、どのように読むのが適切かを検討しました。そして、職員が自館で製作される録音図書を実際に耳でチェックし、デイジー録音・編集・校正にも責任を持つべきこと。音訳に問題がある場合は、読者の立場に立って、ボランティアと向き合い、改善に努めるべきこと。さらに施設長も自館の図書の質について責任を持つべきことなどを確認しました。  全国の点字・録音・電子図書はほとんどすべてがボランティアの皆さんの無償奉仕で作られています。しかし、だからと言って、「質」に問題のある図書が容認される訳ではありません。当館でもさらにボランティアの皆さんとの連携・協力を深めながら、正確で、読みやすく(聴きやすく)、分かりやすい図書作りに取り組んでいきたいと思います。(館長 竹下 亘)   ●報告の頁(10頁)  ◆情報文化センターの正職員を公募 日本ライトハウスでは、当センターの正職員2名を公募します。資格は障害者福祉、点字図書館、書籍編集等の経験や専門資格を持つ方(が望ましい)。学歴は大学卒業以上。年齢は不問。契約期間は2018年4月1日からで期限の定めなし。応募締切は12月16日(土)(当日消印有効)。その他、雇用条件等は当法人のホームページでご確認ください(http://www.lighthouse.or.jp/)。なお、これと合わせて、視覚障害リハビリテーションセンター職業訓練部と盲導犬訓練所でも常勤嘱託職員を公募しますので、関心のある方にお伝えください。  ◆対面ボランティア廣岡敏雄さんご逝去  当館の対面リーディングボランティアとして22年間に亘りご協力くださった廣岡敏雄(ひろおか としお)さんが11月5日、86歳で亡くなられました。廣岡さんは定年後、対面ボランティアを始められ、長年の実務経験を活かして経済や英語といった専門書を中心にお力添えくださいました。2014年度には活動歴20年の感謝状を受けられましたが、昨年末から体調を崩され、活動を休止されていました。長年のご支援に感謝し、心からご冥福をお祈りいたします。  ◆MSCの岡村佳子職員と原彰職員が退職  当館7階メディア製作センター(MSC)の岡村佳子(よしこ)職員と原彰(あきら)職員が12月半ばで退職します。岡村職員は2001年、MSCの前身であるデイジー録音スタジオの立ち上げから製作・調整事業を一身に担い、主任として録音ボランティアの皆さんのご協力を得ながらMSCの発展を導きました。今春定年のため昨年から引継を始め、10月の選挙広報業務で一区切りが付いたことから退職となりました。また原職員は2004年からデイジー編集作業を担当してきました。二人の退職によりMSCでは職員が不足し、厳しい状況ですが、皆さんのこれまで以上のご支援とご協力をお願いいたします。  あゆみ  【11月】 9日 ボランティア友の会世話人会 11日 オープンデー(館内見学日、9人) 17日 実習:視覚障害生活訓練等養成課程 18日 ライトハウス祭り(リハセン) 21日 実習:大阪府立南視覚支援学校中学生 22日 見学:JICAインクルーシブ教育研修生 25日 わろう座 「小さな恋のメロディ」  予定 【12月】 3日 第11回MMD図書講演会(NaD共催) 7日 近畿視情協V研修会(玉水記念館) 9日 点訳ボランティア養成講習会修了式    オープンデー(館内見学日) 26日 サービス最終日 28日 仕事納め ※ボランティア活動の年内最終日と新年再開日は各係でご確認下さい。 【1月】 5日 仕事始め 6日 サービス再開  編集後記 勤労感謝の日にこの後記を書き始め「働く」ということを改めて考えながら出勤した朝の会話。共働き夫婦の業者さんから「毎日仕事終わる頃に嫁が『今晩食べたいから帰り道にアレコレ買ってきて』ってLINE送ってくるんですよ。何か一つする度に一つ仕事足されるんです(笑)」。私「うちの親も私が立ち上がった瞬間に何か用事言ってきますよ、大変ですよね(笑)」。近くで聞いていた女学生のような職員Sさんが「仕事頼まれることを喜ばないと。相手が喜んでくれるのだから(ニコリ)」…さすがです!Sさん!(M2)  ONE BOOK ONE LIFE(ワンブックワンライフ) 2017年12月号  発行 社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(館長 竹下 亘)  住所 大阪市西区江戸堀1-13-2(〒550-0002)     TEL 06-6441-0015     FAX 06-6441-0095     E-mail info@iccb.jp  表紙絵 武部はつ子  発行日 2017年12月1日  定価 1部100円 年間購読料1,000円