ろくおん通信 No.216号 発行日:2016年6月1日 発行:日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 発行責任者:竹下 亘  〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2  電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ 主な見出し 1.聴いてわかる録音図書をつくるために(第29回) 2.もっと知ろう!「ウェブスタジオ・なにわ」(第7回) 3.わかる使える広がる!デイジー図書徹底解説(第3回) 4.デイジー編集ブラッシュアップコーナー 5.館からのお知らせ 主な見出し、終わり。 1. 聴いてわかる録音図書をつくるために(第29回) 数字の読みかたについて 久保洋子 今回は数字の読みかたについて考えてみます。 数字のアクセントは、一度覚えてしまえばずっと変わらないものですので、アクセント辞典で確認しておくと良いでしょう。 数字が複合した場合(21、22・・・など)や、数字+助数詞のアクセントも辞典に出ています。 【数字のアクセントに関するページ】 ■ 三省堂「新明解 日本語アクセント辞典(2010年9月10日第1刷)」:『付 37ページ〜49ページ』 ■ NHK「新版 日本語発音アクセント辞典(1998年4月25日 第1刷)」:『付録 63ページ〜89ページ、223ページ〜226ページ』 さて、『2.5』、『5.5』。 これらをどう読みますか? 「ニテンゴ」、「ゴテンゴ」でもいけないということはありませんが、普段の会話の中で自分がどう言っているか、考えてみてください。喋り言葉としては「ニーテンゴ」、「ゴーテンゴ」 と、伸ばした言い方が普通ではないでしょうか。 音訳は、できるだけ普通に聞こえる不自然ではない読みが良いと思います。 郵便番号、電話番号、ISBNなど、数字を一字ずつ読んでいく時にも、『231』は「ニーサンイチ」、『357』は「サンゴーナナ」と、伸ばした方が自然に聞こえます。 では、カタカナで書かれた外来語はどうでしょうか? ヴァイオリン(violin)の「ヴァ」、ウィリアム(William)の「ウィ」などのように、外来語には、本来日本語には無い音があります。外国人の発音を聞いた人が、できるだけそれに近い音でカタカナに置きかえていますので、同じギリシャでも、表記は『ギリシャ』、『ギリシア』、『ギリシヤ』など複数あります。 表記が問題になっている内容の場合は別として、通常は、その物が別の物に聞こえないように読むことが大切です。原本の表記の通りに読んで自然に聞こえれば良いのですが、本の内容が分かり難くなるような場合は、『ウィリアム』を「ウイリアム」と読んでいても許容範囲として良いのではないでしょうか。 晴眼者が目で読んで理解するのと同じように、利用者が耳で聞いて中味を理解できる録音図書をめざして、音訳者、校正者、デイジー編集者が力を合わせて製作していきたいと願っています。 2. もっと知ろう!「ウェブスタジオ・なにわ」(第7回) 〜ボランティアの皆さんから寄せられる質問などを、毎回少しずつ紹介しています〜 「ウェブスタジオ・なにわ」に関する疑問を少しずつ解消するこのコーナー。まだまだ疑問いっぱいのウェブ校正票ですが、今回はもう一度、音訳者が受け取る校正票にスポットを当て、さまざまな角度から「校正票」について整理してみたいと思います。 Q1.トップページに、「○○○の校正票が届いています」のお知らせが、図書1冊分ズラッと並んでいてびっくりすることがあります。なぜ一度にたくさんの校正票が来るのですか? A1. 一度に複数届いている校正票は、デイジー編集者からの校正票です。 通常、デイジー編集者は1冊の図書を一通り編集した段階で、まとめて校正票を送信します。 例えば、その図書が10個の音訳データでできあがっているなら、校正票は一度に10個送られてきます。 その中には、修正をお願いするもの、お願いしないものが混在しています。 「校正票一覧」画面の「校正可否」欄で確認すると、 (1) 修正がある場合は、「あり」 (2) 修正がない場合は、「なし」 となっています。 例外的に、デイジー編集者が途中までの音訳データを編集した段階で校正票を送信するケースがあります。この場合は、デイジー編集者からの校正票は数回に分けて届きます。 Q2.「修正なし」の校正票の場合、どうすれば良いですか? A2. そのまま何もしないで校正票を閉じてください。音訳データの送信は不要です。 校正者からの校正票の場合でも、デイジー編集者からの校正票の場合でも同じです。 Q3.今、校正状況はどうなっているか確認する方法はありますか? A3. トップページの 音訳データ送信 をクリックし、各音訳データの「校正状況」欄で確認することができます。手順は、以下の通りです。 (1)[音訳データ一覧を参照する]をクリックする。 (2)「表示する製作図書」欄の X をクリックし該当図書を選ぶと、音訳データが表示される。 (3)各音訳データ左端の「校正状況」欄を見る。 @空欄の場合:校正票が届いていない状態。 A『確認済』の場合:校正者からの校正票が届いており、音訳者が「修正済音訳データ」を送信していない状態。 ※「修正済音訳データ」を送信すると、次のBのファイルが並びます。 B「校正状況」は空欄で、「修正回数」欄が1になっている場合:音訳者が、校正者からの校正票をダウンロードして、「修正済音訳データ」を送信している状態。 C『承認済』の場合:デイジー編集が終わり、デイジー校正待ちの状態。 【参考】:音訳データ一覧の状況は、校正票を受信したり、修正データを送信したりするたびに変わります。 「修正回数」1:音訳者が、校正者からの校正票をダウンロードして、「修正済音訳データ」を送信した状態。 「修正回数」2:音訳者が、デイジー編集者からの校正票をダウンロードして、「修正済音訳データ」を送信した状態。 「修正回数」3:再度、デイジー編集者から送られてきた校正票をダウンロードして、音訳者が「修正済音訳データ」を送信した状態。 ※デイジー編集者は何度でも校正票を送信することができるため、デイジー編集者からの校正票は複数回届く場合があります。 ここでもう一度、音訳データ送信の際の注意点をまとめてみます。 (1)新規音訳データをアップした後、取り消して、再度アップし直したい場合は、必ず職員にご相談ください。 特に、以下の2点については厳守してください。 ・「音訳データ送信」画面右下の[送信済音訳データを再送信する]([送信済朗読データを再送信する]) は使用しない。 ・音訳データ一覧の該当ファイルの□にチェックを入れない。 (2)「修正あり」の校正票を受け取った場合は、必ず校正票をダウンロードしてください。ダウンロードした校正票は、Recdiaの「校正票編集画面」で「修正完了」か「修正パス」の□にチェックを入れるのを忘れないようお気をつけください。校正に対して、修正しても修正をパスしても、必ず[修正済音訳データを送信する]で音訳データを送信してください。なお、修正をパスした場合は、その理由を「校正票編集画面」の「備考欄」に記入してください。 (3)デイジー編集者からの校正票に書かれている項目以外の箇所を修正した場合は、必ずデイジー編集者にお知らせください。 ウェブスタジオ・なにわの「連絡票」、または「校正票一覧画面」の「通信欄」にご記入ください。 (4)最終の音訳データ送信の際は「音訳データ送信」画面の「製作範囲完了」の□にチェックを入れてください。 (5)デイジー校正者からの校正表は、紙で届きます。紙の校正表で修正をした音訳データは、ファイル名を変更して(例:「○○01.wav」→「訂正○○01.wav」)、「音訳データ送信」画面の「製作範囲外」の□にチェックを入れて送信してください。 次回は、校正者、編集者が送信する校正票にスポットを当ててみたいと思います。 3. わかる 使える 広がる!デイジー図書徹底解説(第3回) デイジー図書のしくみを解説しながら、どのように利用されているかをご紹介しています。今回は、「セクション」についてです。 デイジー図書における「セクション」 ある見出しから次の見出しの直前までの音声のひとかたまりを、デイジー図書では「セクション」と呼んでいます。「セクション」は、1個以上のフレーズから構成され、数百以上のフレーズになることもあります。デイジー図書では、墨字図書の成り立ちと同じように「セクション」を作ります。例えば、次のような音声のかたまりが、1つ1つのセクションになります。セクションの一番最初のフレーズが、そのセクションの見出しになります。 セクション1 《書名、副書名、著者名、日本ライトハウス情報文化センター2016年製作》 セクション2 《デイジー図書凡例、この図書の階層は・・・デイジー図書凡例おわり》 セクション3 《はじめに 1ページ ○○○》 セクション4 《第1章 デイジーとは 3ページ デイジー図書の・・・》 セクション5 《第2章 デイジーコンソーシアムの発足 12ページ デイジーコンソーシアムの発足は・・・》 セクション6 《1.1996年5月 15ページ ・・・》 セクション7 《2.特許の取得 20ページ ・・・》 セクションの活用法  デイジー再生機では、1つずつセクションを移動していくことができます。セクションの最初のフレーズは見出しですから、見出しの項目を聞きながら移動することができます。各見出しに素早く移動できるので、以下のように、墨字図書を読むのと同じような聞きかたが可能になります。 @ 順番にセクション移動することにより、図書の全体像を知ることができる。 A 興味の湧いたどの項目からでも聞き始めることができる。 B 前のセクションに戻ったり、先のセクションに進んだりすることができるので、自分が探している項目に素早く移動できる。 このようにセクションを移動して聞く操作を、「セクション移動」又は「見出し移動」と呼んでいます。 階層化について  墨字図書に基づいて作った「セクション」は、見出しの大小関係が分かるように階層化します。この階層のことを、デイジー図書では「レベル」と呼んでいます。レベル1が一番大きな見出しのセクション、以下、レベル2がその次に大きな見出しのセクション、レベル3がその次…というように、デイジーではレベル6まで階層化することができます。 4. デイジー編集ブラッシュアップコーナー デイジー再生機でのセクション移動がスムーズに行えるようにするため、デイジー編集でできる工夫や確認のポイントを挙げてみます。 @ セクションの先頭フレーズの頭に、無音部分が多くないか? セクション先頭に無音部分が多いと、セクション移動したとき、一瞬遅れて音声が聞こえます。この無音部分は少ない方が望ましいですが、カットする場合は、以下の確認が必要です。 <確認1> 無音のように見えていても、画面上に波形が映らないようなわずかな子音はないか。 この無音をカットしてしまうと、言葉として成り立たなくなります。また、この子音は、直前のフレーズのものである可能性もあります。 <確認2> その無音は、本来前のセクションの最後についているべき間(ま)ではないか。 この場合は、前のセクションの最終フレーズの最後の間(ま)が、短くなっている可能性があります。 A 見出し入力は、セクションの第一フレーズの音声と合っているか? 見出しに誤字・脱字はないか、記号類の半角入力はないか、見出しをプリントアウトして確かめましょう。 見出し入力の基本は全角入力です。記号類の半角入力は、データ変換の際エラーが起こる可能性があります。 B セクション移動に不具合はないか? 最後にもう一度、スムーズにセクション移動できるかを確認します。この作業のポイントは、トントンと素早くセクションを移動していくことです。 <確認1> パソコンの↓↑キーでセクション移動 <確認2> デイジー再生機でセクション移動 5.館からのお知らせ ★休館日のお知らせ 7月16日(土) ※18日(海の日)の振替休館日 ★デイジー編集者の方へ、PCM音源のデイジーデータの提出のお願い 『読書』(当館の利用者向け情報誌)に発表済みの図書のタイトルを、「完成図書リスト」として係内に掲示しています(掲示場所が分からない方は、職員におたずねください)。リストにある図書を編集された方は、22.05kHz(PCM)の最終編集データ(音声エクスポートでMP3に圧縮する直前のもの)を「PCM音源提出用ハードディスク」に入れて、職員にご提出ください。「PCM音源提出用ハードディスク」は、ウィルスチェック用のパソコンの近くにあります。 ★録音スタジオ、編集用パソコンの予約について 1.スタジオ録音をしている方、デイジー編集用のパソコンを使用している方は、入口を入ってすぐの「6F録音スタジオ予約表」、または「6F編集パソコン予約表」に、忘れずに記入してください。また、使用しない日には、必ず×印をつけてください(空いているスタジオ、編集用パソコンを有効活用するため)。 2.普段、スタジオでの録音をしていない方、デイジー編集用のパソコンを使用していない方は、「6F録音スタジオ予約表」、「6F編集パソコン予約表」に×印がついている場合は使用可能です。お名前を記入してください。なお、無記入の欄の使用状況については、職員にお問い合わせください。 3.「6F録音スタジオ予約表」、「6F編集パソコン予約表」にご記入の方は、同じ場所に置いてある「録音スタジオ・編集スタジオの予約について」をご一読ください。 ★録音スタジオを使用したら・・・ 1.スピーカーとマイクの電源をオフにしてください。 2.次の方が気持ちよく使えるように、消しゴムのかすやゴミを掃除してください。 3.メガネ、電子辞書などの忘れ物が無いか、スタジオを出る前に確認してください。 皆さまのご協力を、お願いいたします。 以上