ろくおん通信 No.222号 発行日:2017年6月1日 発行:日本ライトハウス情報文化センター 録音製作係 発行責任者:竹下 亘 〒550-0002 大阪市西区江戸堀1−13−2  電話 06-6441-1017(録音製作係直通)  http://www.iccb.jp/ 主な見出し 1.聴いてわかる録音図書をつくるために(第35回) 2.もっと知ろう!「ウェブスタジオ・なにわ」(第13回) 3.わかる 使える 広がる!デイジー図書徹底解説(第8回) 4.休館日のお知らせ 主な見出し、終わり。 1.聴いてわかる録音図書をつくるために(第35回) 録音図書を読むということ 久保洋子  録音図書製作に携るボランティアの皆さん、利用者の方と同じように録音図書を聴いてみたことがありますか?  墨字の本は、目で見てわかりやすいように色々と工夫されています。例えば活字の大小、段落、行空け、字下げなどのレイアウト。活字を読む人は、これらの工夫を目で見て、次からの文章は今までと何かが違うということ、例えば章や節が変わること、引用文があることなどをあらかじめ知ることができます。  音訳では、活字上の工夫を音に変えて、聴いてわかるように「以下引用・・・引用オワリ」、「カギカッコ・・・トジ」などのコメントを入れて読みます。  地の文と引用文の文体が違う時(例えば現代文と古文、「ですます体」と「だ体」など)に、「聴いていればわかる」ということで、引用を表すコメントを入れないで読んだとします。  この場合、しばらく聴いていれば、確かに何か違うということはわかります。「しばらく聴いていてわかる」。これで、目で読む場合と同じように理解することができるでしょうか?  想像してみてください。墨字の本が地の文も引用文も全部同じようにぎっしり活字が並んでいるように作られていたら、果たして読みやすいでしょうか?コメントがないのは、これと同じだと思います。  以前には、音訳のテクニックの一つとして多用されていた、カッコ内の言葉を読むときにピッチを下げて読む方法も同じです。ピッチが下がったことに気がついて、何かが今までと違うということは感じても、それが何を意味しているのかは、その場ではわかりません。  私たちが目指す「聴いてわかる録音図書」は、目で見てわかる情報をもれなく、正しく、目で見るのと同じように伝えることです。「引用・・・引用オワリ」、「カッコ・・・トジ」などのコメントをできるだけ入れないように音訳したいと思っている方もいるかもしれませんが、必要なコメントが適切な言葉で入っていることが、わかりやすい録音図書の大切な条件だと思います。  音声だけの読書と文字(墨字・点字)の読書の大きな違いは、自分のスピードで本を読めるか、読み返すことが容易にできるかということです。録音図書は、「あれ、声の調子が変わったな」とか「さっきの文章は他のところと何か違ったな」と考えている間に、話がどんどん進んでしまいます。できるだけ余計なことを考えず、一度聴いただけでわかるのが理想の録音図書といえるでしょう。  校正者や編集者の方は、作業に入る前に原本を見ずに音訳データを聴いてみるのも良いかもしれません。一度は、音声だけの読書を体験してみてください。 2.もっと知ろう!「ウェブスタジオ・なにわ」(第13回) 〜ボランティアの皆さんから寄せられる質問などを、毎回少しずつ紹介しています〜   「ウェブスタジオ・なにわ」に関する疑問を少しずつ解消するこのコーナー。今回からは、「録音図書製作の流れ」に沿って、手順と注意点を紹介していきます。   <録音図書製作の流れ>  1.録音図書申し込み(今読んでいる本の音訳終了1ヶ月前) 2.「音訳処理表」(青い紙)に必要事項を記入。 3.音訳処理表を録音製作係に提出。処理がわからない所、不明な点はこの時に打ち合わせ(事前に打ち合わせ日時を予約しましょう)。 4.製作依頼の受信/返信。 5.調査、書き込み、下読みなどを経て、録音開始。 6.音質チェックのための音訳データ(15分程度)を「製作範囲外」で送信。  録音製作係に連絡(以下のいずれかの方法で)。  @メール rec@iccb.jp  Aウェブ連絡票 宛先「録音製作係」*職員の個人名宛ではありません  B電話(06−6441−1017)またはFAX(06−6441−1027) 7.下調べ票の作成/送信。  ・「下調べ票」は調査するたびに記入し、その都度送信します。 8.新規音訳データ送信。  ・音質チェックをクリアしたら、1枚目の音源を正式に(ページ数・行数を入れて)アップする。  ・通常1ファイル60分を目処に録音。  ・最終データ(校正前の音訳データの最終wavファイル)を送信する時は、「製作範囲完了」の□にチェックを入れる。 9.校正票ダウンロード。  ・校正票がなかなか届かなかったら、職員にお問い合わせください。  ・「校正なし」の校正票が届いたら、修正録音の必要はありません。ただし校正票はダウンロードして、該当の図書のwavファイルがあるフォルダに保存しておいてください。 10.修正録音。 11.修正済音訳データ送信。 12.録音完了。   今回は、上記の4、6、7について、「ウェブスタジオ・なにわ」の手順をご紹介します   ・製作依頼の受信/返信(2ページ「録音図書製作の流れ」4.)   @トップページの「依頼受信」欄に表示されている書名をクリック。  A「承諾」に印が入っていることを確認し、「送信」ボタンをクリック。  B「製作依頼の返信を完了しました」というメッセージが出れば、返信完了です。   *返信する前にトップページから書名が消えた場合には、「製作依頼受信」ボタンをクリックしてください。これまでの製作依頼の一覧が表示されます。青字で「未読」という印がついている図書があれば、A〜Bの作業を行ってください (「承諾」で返信すると、音訳データが送信できるようになります)。    ・音質チェックのための音訳データを「製作範囲外」で送信(2ページ「録音図書製作の流れ」6.)  @15分程度録音する(ファイル名は「(書名)01.wav」にしておくと、音質チェック終了後もそのまま使えます)。  Aウェブスタジオ・なにわにログインし、メニューキー「音訳データ送信」をクリック  B「参照」ボタンをクリック、パソコンに保存している音訳データ「(書名)01.wav」を選択する。  C「製作範囲外」の□をクリックし、チェック(レ印)を入れる。   ※ページ数・行数はこの段階では入力しないでください。  D「次へ>」ボタンをクリックすると、「以下の内容で音訳データを送信します。よろしいですか?」というメッセージが表示されるので、送信する音訳データが正しいかどうかを確認し「送信」ボタンをクリックする。  E「音訳データの送信が完了しました」というメッセージが出れば、送信完了です。  F職員からチェック完了の連絡を受けたら、続きを録音してください。60分前後になったら、正式にページ数・行数を入れて送信してください。   ・下調べ票の作成/送信(3ページ「録音図書製作の流れ」7.)    @メニューキー「下調べ票」をクリック   A下調べ票一覧画面の[新規下調べ票作成]をクリック  B「書名」欄の ▼(下向き三角)をクリックし、これから作成する図書の書名を選ぶ。  C下調べ票編集画面に、必要な項目を入力(※出典の入力も忘れずに)。  D1つの語句に関する情報を入力し終えたら、「OK」ボタンをクリック。  E入力した項目が追加されているのを確認し、順次語句を追加していく。  Fすべての語句について入力が完了したら、「下調べ票送信」をクリック。  G「下調べ票を送信します。よろしいですか?」というメッセージが表示されるので、「はい」をクリック。  H「下調べ票の送信が完了しました。」というメッセージが表示されるので、「OK」をクリック。 3.わかる 使える 広がる!デイジー図書徹底解説(第8回)  デイジー図書のしくみを解説しながら、どのように利用されているかを紹介しているこのコーナー。前回では、当館のデイジー編集作業のアウトラインをご紹介しました。今回からはその具体例です。   <デイジー図書凡例について>  そのデイジー図書の利用に際して、デイジー再生機で検索や移動がスムーズにできるよう、本文の始まる前に入れるアナウンス(案内のコメント)のことです。サピエ図書館に登録する音声デイジー図書の製作基準では「録音図書凡例」という見出しでアナウンスすることになっており、当館でも「デイジー図書凡例」として必ず挿入しています。 <何をアナウンスするのか>  階層(レベル)についてのアナウンスは必ず入れます。続けて、図書全体における凡例(例えば図表の説明をグループで区切っていることなど)を、必要に応じて入れます。凡例のコメントは色々なケースが考えられますが、以下に、当館における「デイジー図書凡例」の代表的なものを紹介します。 <当館における凡例のコメント例>  ・階層(レベル)のみアナウンスする場合  「この図書の階層はレベル1です」 または 「この図書の階層はレベル1のみです」  「この図書の階層はレベル2まであります」    ・本文中に目次にない小項目があり、レベル化している場合  「この図書の階層はレベル3まであります。レベル3は目次にない小項目です」    ・本文中の小項目にグループの印を付けている場合  「この図書の階層はレベル2まであります。レベル2の中の小項目にはグループで移動   できます」    ・見出しに、原本にない番号を付加して読む場合  「この図書の階層はレベル1です。見出しに番号を付けて読んでいます」  「この図書の階層はレベル3まであります。レベル2とレベル3の見出しに番号を付けて   読んでいます」     ・図、表、写真にグループを付けている場合  「1.この図書の階層はレベル2まであります。   2、図、表、写真の始めと終わりをグループで区切っています」  【注】2つ以上の事柄についてコメントする場合は、「1.○○○ 2.□□□」と番号を付けて読みます  ・目次がない場合  「この図書には目次がありません。本文の見出しの階層はレベル1です」  「この図書には目次がありません。本文中の*(アスタリスク)をレベル1で区切っています」    ・雑誌や問題集などで、検索しやすいようにページを付けかえた場合   雑誌の場合「1.この図書の階層はレベル○まであります。         2.見出し部分だけにページを付けています」   問題集の場合「1.この図書の階層はレベル○まであります。          2、問題の番号とページを対応させるため、ページを付けかえています」 デイジー図書凡例以外でアナウンスする場合もあります  図書全体に関することではない場合、冒頭の「デイジー図書凡例」はなく、それぞれの該当の箇所でコメントを入れることがあります。その例を紹介します。    ・索引でコメントする場合  「あ行、か行などへはレベル2で、あ、い、うなどの五十音へはレベル3で移動できます」    ・年表などでコメントする場合  「年代ごとにグループで移動できます」    ・参考文献などでコメントする場合  「各参考文献にはグループで移動できます」 ※原本の見出しに番号を付加して読む場合の注意点  原本通り読んだのでは見出しの大小関係がわからない場合があります。例えば第1章の下の項目と、さらに下の項目には何も番号が付いていない、あるいはどの項目にも全く番号がついていないなどのケースです。そのような場合、見出しに番号を付けることが本当に必要かをよく検討し、番号を付加する場合は、必ず「デイジー図書凡例」でコメントします。   <番号付加の例> レベル1  →  レベル2  →  レベル3 の順 1章 → 1 → (1) 1 → 1−1(1の1)→@ 1 →(1) △△△ → @  □□□ ★編集者の方へ:完成した図書のデータ(PCM)の保存について  『読書』(当館の利用者向け情報誌)に発表済みの図書のタイトルを、「完成図書リスト」として係内に掲示しています(掲示場所が分からない方は、職員にお尋ねください)。  リストにある図書を編集された方は、22.05kHz(PCM)の最終編集データ(音声エクスポートでMP3に圧縮する直前のもの)を「PCM音源提出用ハードディスク」に入れて、職員にご提出ください。  「PCM音源提出用ハードディスク」は、ウィルスチェック用のパソコンの近くにあります(不明の場合は職員にお尋ねください)。 4.休館日のお知らせ 7月15日(土)※17日(海の日)の振替休館日 ※スタジオ使用中はお静かに 今後、スタジオの活動時間は原則として10〜12時および13〜17時といたします。上記の時間内は、スタジオの外の方々は、大きな声で話したり、笑ったりしないようご協力をお願いいたします。 以上