平成28年度文部科学省「音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究」事業 セミナー「視覚障害児童生徒のための音訳教材データベース 〜今後の活用と専門音訳技術への期待 〜」アンケート集計結果 2017年3月 開催日時:2017年3月11日(土)13時30分〜16時 開催場所:日本ライトハウス情報文化センター 会議室1・2 参加者:68人(教育関係者31名、音訳等ボランティア22人、「音訳教材データベース」調査研究委員会9人、その他(報道関係者・出版社・法人職員)6人) アンケート回答者:48人(点字3、墨字45) 1.あなたは、次のどれにあてはまりますか?  @教育委員会関係者 1人 A行政関係者 1人 B地域の学校の教員 14人 C特別支援学校(視覚)の教員 10人 D特別支援学校(肢体)の教員 1人 E特別支援学校(知的)の教員 1人 F視覚障害者情報提供施設関係者 1人 Gボランティア 15人 H児童生徒の保護者 1人 Iその他 1人 J未記入 2人 2.セミナーの開催を何でお知りになりましたか?<複数回答可> @文部科学省、教育委員会からの案内 22人 A関係団体からの案内 4人 B日本ライトハウスのホームページ 10人 Cセミナー事務局からのメールやFAX 8人 D知人からの紹介 2人 Eその他 2人          3.周囲に、点字・拡大教科書を使用している児童生徒はいますか。 いる 24人 いない 22人 未記入 2人 4.上記で「いる」と回答した方:音訳教材を使用してみたいと思いますか。また、その理由もお書きください。 はい 24人 いいえ 0人 【理由】 (1)視覚支援学校の教員 ・音訳教材について、特に触図、読図のための補助教材として大変有効ではないかと感じた。 ・点図だけでは理解しにくい生徒が増えているため。 ・拡大教科書を使っていて、発達の特性的に耳からの情報入力が有用な生徒がいる。 ・点字使用で、ゆっくりしか読めない生徒や、速く読めても点図を読むのが得意ではない生徒がいるため。 ・予習、復習に大変便利だと思う。 ・中途視覚障害の生徒は点字が充分使えず、音声との併用が必要であると考えるから。 ・音訳教材を使用することで、図や表の理解がより深まると思うから。 ・生徒が主体的に予習等に取り組むツールになるのであれば使用させたい。教員が教材研究を充分するためには、音訳教材の製作に学ぶところが数多くあると思う。 ・効率的に学習を進めていくことができると思う。使用場面について考えていきたい。 ・中等部、高等部の指導では、見せ方や説明の仕方に不慣れな視覚障害教育の専門でない教員が多い。ただ、教科の専門性は高いので、視覚障害のある生徒への説明の不十分さを補えれば良いと思う。 ・(本日のセミナーで)実際に使用した生徒が「使ってよかった」と言っていたという報告を聞いたので。 《地域の学校の教員》 ・児童が高学年になり、学習量も増え学習スピードも上がる為、拡大教科書と併用して使用させたい。 ・点字教科書(特に国語)では、挿絵が無かったり大事な写真が省略されていることが多い。他の子どもたちと同じように学習する際、困ることがあった。児童が他の子どもたちと同様に学習できるよう、挿絵等も工夫してほしいと思っている。挿絵が無理ならせめて音訳での説明があれば良いと思った。 ・拡大教科書を既に使用している児童以外にも弱視の児童が数人いるので、使ってみたいと思った。知的に障害はないので、自分で聞いて内容を読み取れる力が付けば、本人たちも自信が付くと思う。 ・予習、復習にとても役立ちそうだと思った。 ・生徒のためになる可能性のあるものは、何でも試してみたい。 ・点字使用の生徒のために授業やテスト問題を作るとき、図の説明に悩むことが多い。音訳教材で点図の説明が聞けると、全盲の児童にわかりやすいのはもちろん、指導する自分にとっても、どのように説明したらよいのかの参考になると思う。 ・LD(読み書き障害)の子にも使ってみたいと考えている。 (2)保護者 ・点図の理解が深まり、学習意欲が高まると思う。 (3)その他 ・音訳教材は高等教育にも役立つ。また、幼児向けの音訳教材があっても良いと思う。 5 今回のセミナーで関心を持たれた内容はありますか。 <複数回答可> @「音訳教材データベース」の紹介および「音訳教材」の使用例 37人 A報告1「音訳教材を使用して」 33人 B報告2「教科書の視覚的資料を音訳して」 31人 C講演「視覚障害児童生徒における音訳教材の併用の有効性と今後への期待」 25人 6 その他のご意見・ご感想    《視覚支援学校の教員》 ・合成音声では補えない、人間の暖かさのこもった音訳教材の良さを知ることができた。今後、学校でも使わせてもらえるようになると良い。 ・音訳教材は、すぐにでも使いたいと思うものだった。 ・これだけ全国から様々な職種や領域の人が集まったのだから、ニーズを拾う時間があるともっと有意義な会になったと思う。 ・自分自身、図表や絵の読み方を学びたいので、土曜などの単発の講習会をしてもらえるとありがたい。 ・勉強になることばかりで、さらに「音訳教材データベース」について知りたいと思った。 ・ぜひ、本校の生徒や地域の中学校で学ぶ弱視の生徒に「音訳教材データベース」を使用させてみたい。 ・今回の研修は大変有意義だった。音訳教材は、点字も墨字も活用することが困難な場合の補助ツールであると認識していたが、この度、複雑な点図を音訳教材を聞きながら触察することで、さらにわかりやすく図を理解できることに驚いた。今後、さらなるコンテンツの充実を期待したい。 ・文字の教材に音訳教材を併用することが、先天の視覚障害児にも有効であることがわかった。また、音訳教材は、教科書の複雑の図の理解に苦慮している全盲の教員にも有効であると感じた。解剖学など理療科の教科書にも音訳教材があると良い。 《その他の特別支援学校の教員》 ・図表の音声は、テキストデータを合成音声で読むことを考えていたが、本日のセミナーで、図、表、グラフ、写真の音訳の大切さと困難さを知ることができた。自分も、退職後は音訳ボランティアになって子どもたちのために活動したい。 ・障害児童のために、これからも頑張ってほしい。音訳教材を使用させてもらえるとありがたい。 《地域の学校の教員》 ・図や表の説明がいかに難しいか、よくわかった。 ・多くのボランティアや日本ライトハウスの努力で音訳教材が作られていることを、初めて知った。読むこと、見ることに困難さを感じている人が、少しでも学習しやすい環境が増えたら良いと思う。 ・いろいろと学ぶことができ、貴重な時間になった。 ・普段は読み書き障害のある児童としか接する機会がないが、指導・支援の参考になった。さらに研究が進んでデータベースが充実し、利用させてもらえるとありがたい。 ・音訳教材を、授業で活用し市の研修などで啓発できるよう、体験の機会を作ってほしい。 ・音訳教材が、教科書会社の発行するデジタル教科書に広がっていくことを期待している。 ・今回のセミナーに、日本各地から教員が集まっていることに驚いた。 ・点字教科書使用の児童を受け持っているが、毎日学習できるのはボランティアの方々の協力があってこそだと感じている。 ・現在、通常学校で支援学級の担当をしているが、国語と算数の授業しか支援学級での学習時間が取れない。社会や理科こそ、表、写真、図を使うことも多く読解が大変なのに、クラスのテストではどうしても…というときだけ漢字にルビを振るなどして支援学級で受けている。45分の授業で、他の児童の授業をしつつテストの説明をするが、本来は理解できているはずのことも時間内にできずもったいない状況。音訳されたテストと拡大文字のテストが併用できれば、自分の力でテストをやり遂げることができるのではないかと思う。音訳教材の製作は大変な作業だと思うが、これからも、子どもたちのために良い教材を作っていただきたい。 《音訳等ボランティア》 ・図、表等の視覚的資料の音訳の必要性、大切さを、さらに思い知らされた。月刊誌などの写真(特に人の顔)の説明を、どこまで言葉にして良いのかいつも迷っている。 ・様々な方面、立場からの話が聞けて、ボランティア活動をしていく上での励みになった。現場の報告が定期的に聞ける機会があると嬉しい。 ・書籍をテキスト化するときでも、きちんと図の説明をすることが大切だということを強く感じた。今まで意識していなかったが、特に教科書で図表が見えないということがどれだけ大変なことなのか、大きな驚きだった。 ・広報誌の音訳で、図表、写真の説明に苦労している。今日報告をされた3人の方のそれぞれの立場からの話が、本当に参考になった。これからもボランティア活動を続けていく覚悟ができた。 ・日頃は一般書の音訳ばかりで教材の音訳は身近ではなかったが、今日は目からうろこが落ちた。機会があれば、専門書の音訳にも挑戦してみたい。 ・どの報告も大変興味深く拝聴した。今後は音訳教材に関する活動もしていきたいと思った。 ・教科書製作の難しさが少しはわかった気がする。本来は、音訳教材は教科書会社が揃えるべきものだと思う。 ・教員を退職し、現在は支援学校の補助をしているが、個に合った指導の中でも「読む・聞く」ことの比重が大きい。発達障害と一口で言っても一人ひとり具体的に違うため、個別指導しかない。小学生用の音訳教材には、本文を肉声で読んだものが予習、復習に役立つのではないかと感じた。 《保護者》 ・2年程前に名古屋で開催された教科書点訳連絡会のセミナーで、日本ライトハウスの「音訳教材」の発表を聞き、ヨーロッパの地図を音訳するとどうなるのかを知り、何と分かりやすいのだろうと感動した。息子のこれからの学習にぜひ活用したい。家庭での親の負担も軽減するのではないかと思う。また、保護者も自分の子どものために視覚的資料の音訳講習を受講できるとありがたい。 《その他》 ・音訳教材は、マルチメディアデイジー、テキストデイジーの一部に簡単に組み込める。 ・音訳教材のデータベース化は良いアイデア。音訳が仕事として成立すると良いと思う。 ・このシステムを用いれば、博物館、美術館、動物園、水族館など、直接触ることが難しい場面での情報提供にも生かせるのではないかと思う。 以上