盲導犬Q&A
Q1.盲導犬はいつ、どこで訓練されるようになったのですか?
A.組織的な訓練が始まったのは第一次世界大戦後のドイツで、戦争で失明した兵士達のために何千頭もの犬が訓練されていました。
Q2.日本で盲導犬が訓練されるようになったのはいつごろからですか?
A.昭和14年に戦盲者たちのためにドイツから4頭の盲導犬が輸入された後、その4頭の死でとぎれてしまっていた盲導犬を復活させたのは、現在(財)アイメイト協会理事長の塩屋賢一氏です。昭和32年に国産第一号盲導犬チャンピーが誕生しました。
Q3.日本では何頭の盲導犬が働いていますか?
A.2007年3月31日現在で、970頭の盲導犬が全国で活動しています。
日本ライトハウスが今までに育成してきた盲導犬頭数は500頭(2007年10月までの実績)ですが、引退などで2007年3月31日現在では、196頭が関西を中心に活動しています。
Q4.盲導犬訓練施設はどのくらいありますか?
A.全国に9ヶ所の公認施設があります。認可は国家公安委員会(警察庁)が行います。これらの9ヶ所の施設はそれぞれが独立した法人です。社会福祉法人日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンターは、視覚障害者に生活訓練や職業訓練などを行う施設で、歩行方法の一つとして盲導犬歩行の訓練を行っています。
Q5.盲導犬を使っている国はどのくらいありますか?
A.国際盲導犬学校連盟というところに加盟している国は26カ国です。この連盟に加盟していない国についてはわかりません。
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、クロアチア、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ニュージーランド、ノルウェイ、スロバキア、南アフリカ共和国、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、イギリス、アメリカが連盟に加盟しています。
Q6.歩行方法って他にどんな方法がありますか?
A.日常よく目にするのは白杖による歩行です。他に超音波などセンサーを使って障害物を感知する方法もあります。でも信号や交差点など、道路歩行での判断方法は盲導犬歩行も共通です。例えば、信号機の判断は『自分と並行している自動車の発進音がすれば青信号に変わった』と判断します。こうして歩き出せば横断する時間も十分確保できます。
Q7.どんな種類の犬が盲導犬になれるのですか?
A.日本ではほとんどがラブラドールやゴールデンのレトリーバー種です。性格的に温厚で頭が良いことで知られています。なかでも特に血統は重要で盲導犬に適した犬を繁殖できる親犬を飼育しています。この親犬たちは盲導犬としては使用しません。
Q8.どのように繁殖犬を決めるのですか?
A.繁殖犬になるためには繁殖犬になる犬も、盲導犬になれる性格や能力を持っていなければなりません。そしてそれらが子犬達にも受け継がれていきます。まず、盲導犬としても十分ふさわしい性質を持ったお父さん犬とお母さん犬から生まれた仔犬の中で一番よい犬を繁殖犬に決めます。また、良い犬をたくさん持っている外国の盲導犬訓練所から繁殖犬の輸入もしています。
Q9.盲導犬になれるのはレトリバー種だけですか?
A.他の種類の犬でもなれます。ただし、どんな種類の犬でも良いわけではありません。現在の日本で1番多いのはラブラドールレトリーバーですが、他にもゴールデンレトリーバーとシェパード、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリーバーとの雑種(通称F1)やボーダーコリーとゴールデンレトリーバーとの雑種なども使われています。外国ではボーダーコリー、ボクサー、ダルメシアン、スタンダードプードルなどを使っているところもあります。盲導犬に適している犬種とそうでない犬種とがあります。
ラブラドールレトリーバーとゴールデンレトリーバーはどちらも世界中で盲導犬として使われています。この種類の犬はもともと鳥の猟をするときに撃ち落とした鳥を主人の所まで運んでくるために長い年月をかけて改良されました。鳥の猟に行くのにワンワンとうるさく吠えてしまうと鳥が逃げてしまいます。せっかく撃ち落とした鳥をその場でがぶりと咬んでしまうのではなく、優しくくわえて主人のところまで運ぶためには攻撃したい気持ちがあってはいけません。広い場所でも主人の言うことを良く聞くように人間が大好きでなければなりません。鳥を撃ち落とす鉄砲の大きな音にも平気でいられるように恐がりでないことも必要です。
この犬種の性格的な特徴と人間を誘導するのにちょうど良いからだの大きさが盲導犬として必要な条件に合っているわけです。
Q10.盲導犬になれるのはどんな性格の犬ですか?
A.盲導犬になるための性格としては、次のようなことが望まれます。
仕事が好きなこと、人間が好きなこと、寝るのが好きなこと、じっとしていることができること、人の言うことはよく聞くけれど危ないときには命令通りに動かない自信を持てること、臆病すぎないこと、色々な場所に行っても落ち着けること、気が散りにくいこと(他の犬、猫、鳥、においなどに対してよそ見をしないこと)などです。
Q11.盲導犬になるまでどのくらいの時間がかかりますか?
A.生後2ヶ月頃からパピーウォーカーと呼ばれるボランティア家庭で約1年間、家族の一員として育てられます。その後6ヶ月〜8ヶ月間盲導犬としての訓練を受けます。盲導犬として使用者と活動するまでには2年前後の時間が必要となります。
Q12.盲導犬になるためには何ヶ月くらいどんな訓練をするのですか?
A.盲導犬になるための訓練はそれぞれの犬の覚える早さなどにもよりますが、だいたい6ヶ月から9ヶ月くらいです。そのうち最後の1ヶ月間は実際にその犬を盲導犬として使う目の不自由な人と一緒に生活をしながら訓練をします。これを共同訓練と言います。
盲導犬の訓練はまず、基礎訓練といってみなさんがよく知っている「シッツ(おすわり)」や「ダウン(ふせ)」「ステイ(まて)」「カム(こい)」などの基本的な訓練をします。そして毎日車に乗って色々な場所へ行って歩くための訓練をします。
盲導犬が歩くときにする仕事は「止まる」ことと「左側を歩く」ことと「障害物をよける」ことです。
「止まる」…交差点、階段、障害物、溝、段差等と、道を渡ろうとして車や自転車が飛び出してくるような危険なときには使用者が進むように命令して止まります。
「左側を歩く」…道を歩くとき、道の真ん中を歩くと車などにぶつかって危険なので道の左側を歩くように訓練します。
「障害物をよける」…道の上に止めてある自転車、看板、電信柱、自動販売機などをぶつからないようによけて歩きます。
その他にもエスカレーターに乗ったりドアや椅子に誘導する、電車やバスに乗る訓練や、乗り物の中などじっとおとなしくしているようにできる訓練もたいせつです。
Q13.訓練を受けた犬の中でどれだけの犬が盲導犬になれますか?
A.どんなに盲導犬の親犬に適した父親と母親を選んでも、盲導犬になれるのは生まれてきた子犬の約半分くらいです。犬はおとなにならないと盲導犬に適しているのかいないのか、なれるのかなれないのかわかりません。訓練をたくさんしてから盲導犬にはしないという決定をすることもあります。
Q14.盲導犬になるのにどのくらいの費用がかかりますか?
A.子犬がたくさん生まれても盲導犬になれるのが半分だったり、盲導犬になるために2年前後の時間が必要なこと、その他、外国から良い犬を輸入したり、たくさんの手間がかかり、盲導犬を1頭育てるのには約500万円位かかります。
Q15.盲導犬を持つための費用はどのくらいですか?
A.全国の都道府県では盲導犬貸与制度を設けているところが多くあります。
日本ライトハウスでは、それら都道府県と委託契約を結び都道府県ごとに年間1〜2頭を在住の方に貸与しています。それ以外にも団体等がスポンサーとなる方法もあり、使用者に費用はかかりません。
Q16.盲導犬を持つためにはどんな勉強をするのですか?
A.約1ヶ月間訓練所で犬についての特性や手入れ・歩行方法などを学びます。でも、一番大切なことは盲導犬との信頼関係を築くことです。そのためにも盲導犬の世話は使用者本人が行います。また、その後自宅に指導員が同行し、使用者の日常生活の場を使って訓練を行います。これをフォローアップ訓練といいます。立ち寄る場所で盲導犬を知らない方々がいれば、ご理解をいただくためのお話もします。
Q17.盲導犬は道案内をするのですか?
A.盲導犬は基本的に『かど・段差・障害物』を知らせることが仕事です。ですから目的地への道順あるいは歩行判断は使用者が行い、指示しなければなりません。盲導犬は白杖などの代りに『生きた目』として使用者に安全な歩行を動作で伝えます。
Q18.訓練をしているときに困ったことは何ですか?
A.訓練をしていて困るのは、訓練をしている最中に知らない人から話しかけられたりしてしまうことです。みなさんもお勉強しているときに誰かに話しかけられたりすると気が散ってしまいますよね。犬も同じです。それから、放し飼いの犬はとても困ります。犬にも相性があってお互いが気に入らない犬もいます。そんな犬に出会うと訓練犬もとてもいやな思いをしますし、中には攻撃してくる犬もいます。その他にも遊びたくて近寄ってくる犬もいますが、それも訓練のじゃまになってしまいます。
また、訓練をしたいのにお店に入れてもらえなかったり、電車に乗るのを断られることがあります。
訓練は毎日車に犬を乗せていろいろなところにでかけます。ですから夏の間はその車を止めるのに暑くならない場所を探すのにも苦労します。
Q19.ペットと盲導犬が出会ったらどうなるのですか?
A.使用者にとって大変困るのが放し飼いのペットです。盲導犬はペットと出会っても意識しないように訓練しています。でも、吠えられたり、攻撃など受けると恐怖心などから仕事に少なからず影響します。他の犬に噛まれてから過度に反応するようになり、引退させた盲導犬もいます。
Q20.盲導犬に食べ物をあげてもいいですか?
A.いけません。盲導犬には決まった時間に決まった食事をさせています。犬の排泄などを含め健康管理は使用者が大変気を遣っていることの一つです。
また、盲導犬が人の食べ物を欲しがったり、落ちている物を拾って食べたり、ゴミ箱をあさるような行動のきっかけにもなってしまいます。
Q21.目の不自由な人が盲導犬によってどんな風に便利になるのですか?
A.盲導犬を持っていない目の不自由な人は、白杖を使って自分で歩くか誰か他の人に手引きをしてもらうかしなければなりません。
白杖で一人で歩くのはある程度の訓練を受ける必要がありますし訓練で恐怖心が全くなくなる訳ではありません。白杖で歩くときは杖から伝わる感覚に対して常に意識を集中して気をつけなければなりませんが、それはとてもつかれることのようです。それに目印になる物がなかったり広い道を歩いたりするのは目が見えると簡単ですが目が見えないととても難しいことです。
みなさんも一度目隠しをして歩いてみて下さい。自分が今どこにいてどんな風にあるいているのか自分で判断をするのは大変なことです。誰か他の人に手引きをしてもらうと安全で早く歩けますが、自分が歩きたいときにかならず手引きをしてもらえるとは限りません。それに、手引きをしてもらうとき目の不自由な方のなかには手引きをしてくれる人に対して気を遣ってしまう人もいます。自分の予定を手引きしてくれる人のために遅らせたりしなければならないこともあるかもしれません。
盲導犬と一緒に歩くと、白杖のようにいつも気持ちを集中していなくても歩くことができ、手引きの時のように人に気を遣う必要もありません。それに、いつも犬と一緒にいると寂しくないと感じる人は多いようです。
目が不自由な方たちにも色々な考えの人がいます。盲導犬よりも手引きや白杖の方がいいと思っている人もたくさんいます。盲導犬を持っている人の中でも盲導犬を持って良かったと思うことや便利になったと思うことはそれぞれの人によって違います。中には犬の世話が大変だと思ったり犬を連れていることによってかえって気を遣ってしまう人もいます。
Q22.盲導犬を連れて電車に乗ったりお店に入ったりできますか?
A.できます。でも、まだまだ盲導犬と一緒にお店にはいるのを断わる人がいます。
ハーネスをつけた盲導犬はお店に入ったり乗り物に乗ったりしても良いという法律があります。盲導犬がきちんとしつけをされていて他のお客さんに迷惑をかけないことを知らない人に対しては説明をして入れてもらうようにお願いしています。でも、お店の人の中には犬が嫌いな人や、動物のアレルギーのある人もいます。そんなときには無理に入ったりはしません。
色々なお店で「他のお客様の迷惑になるから」と言って盲導犬を連れて入るのを断るところがあります。そんな場面に出合ったら「私は気にしませんから入れてあげて下さい」と、一言お店の人に頼んでみてください。
Q23.ハーネスって何ですか?
A.盲導犬が身につけている白い胴輪とハンドルでできていて、盲導犬としての象徴です。ハーネスを装着してハンドルを持てば盲導犬は"仕事"を意識するようになり、盲導犬が止まったり、障害物を避けるのはこのハンドルを通して伝えます。
Q24.盲導犬に出会ったらどうしたらいいのですか?
A.特別なことは何もありません。ただ、使用者が何か困っている様子でもあれば声をかけて下さい。道に迷っていたり、使用者が希望すれば手引きすることも良いでしょう。でも犬には声をかけたりさわったりしないで、好意的に無視してください。使用者が了承したときは別です。ふれあいを楽しんで下さい。
盲導犬使用者は白杖の代りに盲導犬を使っています。手引きを受ける時はハンドルを使わず引綱で歩行します。あるいは横を歩き、前方の状況など話しながら声で手引きすることも可能です。
Q25.歩けなくなった盲導犬はどうなるのですか?
A.盲導犬は8年〜10年前後活動し、10〜12才に引退します。希望者には次の盲導犬が用意されますが、同時に2頭の犬を飼うことはたいへんなことですし、盲導犬にとっても良い環境ではありません。そこで老後の世話をしていただけるボランティアの家庭で余生をのんびり送ります。
Q26.盲導犬のボランティアにはどんなことがありますか?
A.飼育に関しては、パピーウォーカーや引退犬の飼い主の他に、盲導犬になれなかった不適格犬をペットとして飼ってもらう、繁殖犬を預かってもらうことをお願いしています。その他訓練所の犬舎で犬の世話をしていただく犬舎ボランティア、訓練所周辺の清掃をしていただく清掃ボランティア、犬用の服を作っていただく縫製ボランティアがあります。
訓練所では多くの方のご支援、ご協力を必要としています。どんなことでも結構ですからあなたの力を貸して下さい。ご協力いただける時間帯や内容を相談の上でボランティア登録させて頂きます。ご連絡お待ちしています。
Q27.視覚障害者へお手伝いできることはありませんか?
A.盲導犬歩行をしていても不自由なことはたくさんあります。特に知らない場所は地図が浮かばず歩けません。そこで、左・右・前・後、方角などを使って教えて下さい。くれぐれも『あっち』『こっち』・指差しは避けてください。

